「本業赤字」イオンが踏み切る大改革

消費トレンドの変化に気付いていなかった

ダイエー完全子会社化の会見終了後、会場を後にする岡田社長(写真右、撮影:尾形文繁)

食品強化と、さらに地域密着化ため、グループ各社の形態も変えていく。岡田社長は「特定地域での競争優位性の確保が必要だが、食品スーパーは戦える規模になっていない。今後は戦っていくために必要な年商規模が現状の1000億~2000億円が3000億~5000億円へ、さらにその後は2兆円へと変わってくる」とする。現在、「マックスバリュ」の冠だけで全国に10社前後ある食品スーパー子会社を、規模拡大を狙って地域単位で集約する考えを示した。一方でGMSについては、より地域密着が図れる単位に、分権化を実施していくという。

すでにダイエー完全子会社化に伴い、ダイエーの北海道や九州の店舗をイオン子会社に譲渡させ、逆にAFSSへの転換に適したイオンの店舗や首都・近畿圏の食品スーパーを、ダイエーが譲り受けることを発表している。近畿圏では食品スーパーが一本化される見込みだが、これに続き、全国の各地域でも集約が行われる可能性が高い。

ダイエーに関して岡田社長は、「売上高に占める本部経費率が4%と高く、これを半分にすれば、ほとんどの店舗が黒字化する」として、本部経費の削減を積極的に行うことを改めて強調した。ダイエーの本部人員は現在1400人弱で、2005年当時に比べ売上高は半減近くになったが、逆に本部人員は250人近く増加している。すでに650人近くがイオングループ他社に転出したが、今後さらに加速させる考えだ。加えて物流統合などで100億円程度のシナジーも見込んでいる。この10月からは、イオン、ダイエーの共同セールも実施する。

 国内の大型SC新設は凍結

今後のグループ投資に関しては、デジタル分野、アジア市場などの成長分野に集中させる。建築コストの高騰を受け、国内での大型ショッピングセンターの新設は、高騰が沈静化するまで当面先送りする。

イオンがこうした大改革を行う理由は二つある。

一つはグループの拡大だ。ダイエー完全子会社化やウエルシアホールディングス子会社化(2015年2月)、マルエツ、カスミなどを経営統合・子会社化する「首都圏食品スーパーマーケット連合」の始動(15年3月)をはじめ、拡大案件は目白押し。重複する業態や会社、また異なる屋号などの整理・集約は不可欠と言える。

もう一つの理由は足元の業績不振だ。本業の赤字転落は想定されたこととはいえ、小売事業の抜本改革は待ったなしの状況にある。

上期の不振は出足の低迷に尽きる。岡田社長は「販促が実らずコストが膨らんだ」と述べ、第1四半期説明会と同様、増税対策が中途半端で、低価格が消費者に伝わらなかったことを、その理由に挙げている。セール強化などの価格政策やその打ち出し強化を行い、第2四半期から販売は回復しつつあるため、営業利益を最大2100億円(前期比22.5%増)とする、通期業績計画は変えていない。

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