安河内:本来の英語教師でありたいと願う中学や高校の先生を含め、祈るような気持ちで改革の動向を見守っている人が多いと思います。大学受験4技能化に向け、政界からの最後の一押しをぜひお願いします。
遠藤:わかりました。一緒に頑張っていきましょう。
英語スタート小学3年生問題について
遠藤:今日は日本の英語教育について専門家の安河内さんからいろいろ聞けたついでに、もうひとつ尋ねたいことがあります。英語教育の低年齢化についてですが、どうなのでしょう?
安河内:いろいろな議論がありますが、加熱しすぎるのはよくないでしょう。私自身は、ある程度までは、幼稚園、小学校と小さなときからやるのでもかまわないとは思うのですが、やりすぎの弊害は怖いですね。
たとえば、「小学生の間に英語がペラペラに話せないといけない」と親が白熱して、子ども英語ビジネスが大ブームになるような事態は、とても危険だと思います。漢字も書けない、日本語も読めないうちから、中途半端な英語をいくらか話せるだけ、というような子どもが増えてしまう可能性もあります。強要されることによって、英語が大嫌いになる危険性もありますね。
英語はあくまでも外国語なので、ちゃんと母語である日本語の論理的思考力と、日本人としてのアイデンティティの上に乗っかる形で学習させていく必要があると思います。
遠藤:今、小学校英語に関しては、「5年で始めるのはいいけど3年で始めるのはよくない」というような議論があるのだけれど、これにはあんまり意味がないと思っているんですよ。
場合によっては幼稚園から毎日15分で始めてもいいんじゃないかとかね。その分、中高の英語の授業の時間を減らすというのもアリなのかなと思ったりもするのだけれど?
安河内:日本のような環境で子どもたちの英語能力がいちばん伸びるのは、中学、高校の時期だと思うんです。だから小学校からちょろちょろ始めて、中学で本格化させる。そして、大学入試や高校入試を4技能試験に変える。それが実現すれば、諸外国に並ぶぐらいまでいけるのではないでしょうか。
遠藤:英語の授業時間を今よりも増やす、増やさないという議論については?
安河内:私は、今の時点では、全体の英語学習時間を増やす必要はないと考えています。今やっている全文和訳や意味調べに使っているムダな時間を、音を使った教育に変えさえすれば、ある程度のレベルまで到達するでしょう。国際水準でもそれなりに高いところまで持っていけるはずです。時間数を増やしても、毎時間の密度を上げなければ、まったく意味がないでしょう。
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