東京五輪、全国100万人が外国人をガイド!? 日本の教育を変えるキーマン 遠藤利明(3)

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安河内:おっしゃるとおりだと思います。そのためには、実際に使えるようになる英語教育を推進しないといけませんね。今の受験英語は読解、翻訳、文法理解のような受け身のものが中心なので、音がない無音教育になることが多い。これを変えようと私たちは努力しています。

ただ、よく聞かれる批判として、「コミュニケーション能力などとうたって生徒に教えたって、しょせん薄っぺらな会話しかできなくて、ろくな英語は身に付かない」というのがありますね。

遠藤:ああ、そういうたぐいの反論は私もしょっちゅう受けますよ。

的外れな批判にひるまないで

安河内:でも、その批判は的外れだと思います。学習指導要領で目指している「コミュニケーション能力」というのは、論理的に話を構築したり、相手と交渉したりする能力を含みます。ということは、まず相手の話をしっかりと理解できたり、文章を読めたりしないといけない。高度な読解力も必要になるし、論理能力も必要になる。もちろん、母語の力だって必要になってくる。「ただの日常会話だと勘違いされては困ります」と、しっかりと反論して、誤解を解いていかなければならないと思います。

遠藤:今の話を聞くと「アメリカへ行って英語を話すよりも、本人の基礎的な素養や日本人としてのアイデンティティを持つことのほうがずっと大事だ」と言う人たちを思い出しますね。

そんな発言に対しては「もちろんそうだ。自身の国のことを知るのは大事なこと。でも、いくら優れた素養、教養を持っていても、世界の人にはそれらを日本語では伝えることはできない。どうしたって英語になるんだよ」とまず言うのです。続けて「だから英語はコミュニケーションのツールだと割り切って勉強するべき。相手に伝える力が大事なのだから」と説得するようにしています。

安河内:それには私も大賛成です。だから、遠藤議員には、ひるまずに自信を持って改革をぜひ推進していっていただきたいのです。

遠藤:感覚としては昨年の春に案を出したときは、半年ほどかなりの抵抗があったんだけど、それ以降、オリンピックの招致などでこういう話を繰り返しているうちに、反論を言う人がいなくなってきた。

安河内:みんなの努力が結集すれば、目標達成も間近なのではないでしょうか。今回の改革に関しては、政界、実業界、国民、そして文科省の関係者が一致団結しており、流れは加速しています。

遠藤:私の予想以上に世の中の流れが早くて、4技能化の方向に進んでいるという感覚はあります。また、先ほど話した宮城明泉学園のようなところが、従来は自分たちの教育に自信はあっても、メインストリームから外れていることで自制が働いていたのが、「こういった英語教育をやっています!」と今では堂々と言えるようになってきた。そんな光景を見るにつけ、変化の早さを実感しています。

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