マイクロソフト「オフィス」に4つのナデラ流 新CEOは販売方法も利用シーンも変える
だがこれからは変わる。10月17日以降、プリインストール用に提供される「Office PremiumプラスOffice 365サービス」では、バージョンアップ版がなくなる。インストールされて出荷されたパソコンが使える限り、「常に最新版が、永続的に」使えるのだ。バージョンアップ、アップデートなどが自動で行われ、「オフィスのアイコン」をクリックすれば、常に最新版が使われるようになる。
ではプリインストール版以外のパッケージを使っている場合はどうなるか。こうした人々向けには「Office 365 Solo」という製品が提供される。こちらは、2台までのパソコンで、1年間オフィスが使える「ライセンス」だ。年間コストは、想定実売価格が1万1800円(税別)。この期間であれば、常に最新のMSオフィスが使える。
これらのことから言えるのは、MSオフィスが「買い切り」製品でなくなった、ということだ。いままでは「あるバージョンを使う権利」を買っていたわけだが、今後は「バージョンにかかわらず、最新のMSオフィスを利用する権利」を買うことになる。それが、プレインストール版では「1台、購入した機器がある限り」、Soloでは「2台分、1年毎の更新」となる。
こうした形態を「サブスクリプション」と呼ぶが、要はサービス化していく、ということである。マイクロソフトのMSオフィスからの収益は、これまでは「バージョンアップ毎に増減」する、ある程度波のあるものだったが、サービス化に伴い平準化する。そしてユーザー側から見ても、バージョンアップのたびにコストを払うのではなく、「常に新しいものが使える」状態に平準化される。
<3>「Windows」だけじゃない
MSオフィスは仕事をする上での基盤ソフトであり、多くの社会人、学生が必要としているものだ。世の中には「オフィス互換ソフト」も増えているが、フォーマットの再現性などに問題がある。特に、複数の担当者で文書の内容を確認しあって製作する際に必要な「レビュー機能」は、きわめて有用ではあるものの、オフィス互換ソフトなどでもきちんと再現することが難しい。だからこそ、MSオフィスとWindows PCの組み合わせが重要になる。
とはいえ、MSオフィスがサービス化、といっても、Windowsに縛られたものであれば興味を持てないユーザーも多いだろう。移動中にWindowsではないスマートフォンやタブレットを使うことも多くなっているし、マックを使う人も増えている。ハードウエアが多様化している現在、「Windowsの上だけ」では多様なニーズを満たせない。
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