「土木PFI」推進に疑心暗鬼のゼネコン

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地方財政状況は深刻 調査分析の人材も不足

しかし現在、国交省方針に対するゼネコン幹部の反応は、疑心暗鬼の一言に尽きる。

「海外でPFIと言えば民主導で社会資本を建設し、長期で運営しながら収益を社会に還元すること。が、国交省の権限はそのままの官主導だ」「PFIの運営会社に移行すると、公務員の待遇は民間水準に下がるのが当然だが、それを明確にしていない」「結局、建設費の延べ払いと運営費の抑制をしたいだけで、赤字になればツケを民間に回す」など。いずれも手厳しい。

ゼネコン業界が国交省のPFI推進に疑念を抱く背景には、PFI法が施行されてこれまでの11年間の実績が、稼働率の面で「ほとんど失敗している」(大手ゼネコン幹部)からだ。病院や刑務所、官舎、給食センター、図書館などに偏って、“箱モノ”批判は根強い。

今夏完成した衆参両議院の議員会館、金融庁などが入居する中央合同庁舎7号館は、「豪奢すぎる」との声が、土木系の学者や技術者のような身内からも上がる。

国交省は、JRや高速道路会社、空港会社などの独立行政法人を、PFIにどう取り込んでいくか、議論を始めていない。ここにもゼネコンに限らず民間業者は不信感を抱く。

たとえば道路関連では、現行法では事故発生などのリスクが大きすぎ、民間業者はPFI方式に手を挙げにくい。高速道路会社が路線の一部から特定目的会社(SPC)を設立し出資を募れば、リスク分散も図れ、現状では不可能な異なるエリアでの道路事業にも展開できる。政府は高速道路の運営形態を見直すのと同時に、PFIでの官民連携を一層模索すべきだろう。

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