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「女子マネ」は雑用係ではない。偏見をなくしスキルを評価せよ/『「女子マネージャー」の社会学』関めぐみ氏に聞く

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『「女子マネージャー」の社会学』著者の関めぐみ氏
[著者プロフィル]関めぐみ(せき・めぐみ)/甲南大学文学部社会学科准教授。大阪府立大学大学院人間社会学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。専門はジェンダーとセクシュアリティーの社会学、スポーツ社会学。著書に『〈女子マネ〉のエスノグラフィー 大学運動部における男同士の絆と性差別』など。(写真:関めぐみ氏提供)
大学運動部は学生の自主的な活動として運営される。選手を支える学生スタッフの貢献は大きく、その役割は多岐にわたるが、「女子マネージャー」の地位はどこか不安定で、選手からも外部からも軽く扱われがちだ。著者は、アメフト部の学生スタッフ67人から生の声を聞き、大学運動部の構造的課題に迫った。
「女子マネージャー」の社会学
『「女子マネージャー」の社会学』(関めぐみ著/左右社/3300円/324ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──この本を、前著『〈女子マネ〉のエスノグラフィー』の続編と位置づけられています。長期にわたり女子マネージャーを研究対象としているのはなぜですか。

大学の学部卒業後、新卒で入社したスポーツ系の会社が典型的な「体育会系のノリ」だった。基本的に、周りはみんな運動部出身。私自身もバドミントン部と弓道部に選手として所属し、運動部でやってきた人間という自覚はあったが、社会人になった途端、女性というだけで、「選手」でなく「女子マネ」のように扱われていると感じた。仕事内容も、営業は男性で営業補助が女性という環境だった。

職場にはセクシュアルハラスメントが横行していた。それに巻き込まれたりもする中で、一度大学に戻って戦うすべを学ぼうと。

大学院に入った最初の頃は、体育会系の男性同士の絆がどう作られていくのかを、大学アメフト部への「参与観察」で調査しようとした。部員勧誘、新歓飲み会、普段の練習、夏合宿、リーグ戦……という長いスパンでの観察だ。

ところが観察を続ける中で、男性同士の絆の作られ方や組織のあり方に、女子マネの存在が大きく影響していることに気づかされる。そこから、主な研究対象をマネージャーにシフトした。

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