
──この本を、前著『〈女子マネ〉のエスノグラフィー』の続編と位置づけられています。長期にわたり女子マネージャーを研究対象としているのはなぜですか。
大学の学部卒業後、新卒で入社したスポーツ系の会社が典型的な「体育会系のノリ」だった。基本的に、周りはみんな運動部出身。私自身もバドミントン部と弓道部に選手として所属し、運動部でやってきた人間という自覚はあったが、社会人になった途端、女性というだけで、「選手」でなく「女子マネ」のように扱われていると感じた。仕事内容も、営業は男性で営業補助が女性という環境だった。
職場にはセクシュアルハラスメントが横行していた。それに巻き込まれたりもする中で、一度大学に戻って戦うすべを学ぼうと。
大学院に入った最初の頃は、体育会系の男性同士の絆がどう作られていくのかを、大学アメフト部への「参与観察」で調査しようとした。部員勧誘、新歓飲み会、普段の練習、夏合宿、リーグ戦……という長いスパンでの観察だ。
ところが観察を続ける中で、男性同士の絆の作られ方や組織のあり方に、女子マネの存在が大きく影響していることに気づかされる。そこから、主な研究対象をマネージャーにシフトした。