「土木PFI」推進に疑心暗鬼のゼネコン

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この衝撃的な内容に対して、ゼネコン業界の反応は敏感だ。日本土木工業協会の中村満義会長(鹿島社長)は、「新規の整備うんぬん以前に、維持管理だけでも今の予算規模では足りないのが明らかになった。このままでは社会資本ストックは早晩崩壊する」と述べ、11年度予算編成における公共事業費の対前年度比増額を求めている。

道路大手であるNIPPOの橋本祐司企画部長は、「限界集落までライフラインをきっちり維持管理するのが大前提。と同時に、高速道路網の寸断や片側一車線を解消する投資も継続しないと、経済効果を発揮しない」と主張する。

同白書では、維持管理・更新費が、投資可能総額(用地費などを除く)の半分を占めるほど急速に拡大し、今後50年間で総額190兆円(国交省所管のみ)が必要だと指摘。国交省はこの財源を確保すべく、自公政権時代の基本方針を180度転換し、民間の資金や経営資源を活用して土木工事を行う、PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)の積極推進を打ち出した。

さらには今夏から、ゼネコンなど関連業者を集めた講演会や、地方自治体の担当者向けの説明会を盛んに開催、土木系PFIを11年度から順次実施するため法整備を行うと説明した。今年11月末をメドに民間からの提案を募集し始めたのである。

講演会では、「江戸・明治時代の用水や橋は民間の資金提供があって完成した」という故事を引用し、老朽化した社会資本整備の更新を官民連携で行う意義を強調。海外事例を参考にした検討案も示した。

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