10年後、「無業」に陥らないため今すべきこと 城繁幸と西田亮介、「若者と仕事」を語る(後編)
城:それで、学生の意識を変えるという意味では、私は就活をはじめる段階ではなくて、義務教育のレベルから変えるべきだと思っています。今までの教育は「いかに美しく、前例を踏襲するか」でした(笑)。センター試験はその究極ですね。でも、現実の社会はもうそうしたことが評価される時代ではなくなっています。前例通りやっていたら評価されないし、そもそも座る席すら確保できない。
労働市場では学校教育で推奨されてきたこととは違ったアプローチを求められているのに、そこに気づかずにコケてしまった人こそが、「仕事からあぶれてしまった層」のコアをなしていると思うんです。教育の改革は、実は雇用問題の改善に直結する話だと考えていますよ。
「サラリーマン根性を捨てる」ことが最高の失業対策
西田:城さんの新刊では「10年後失業」をテーマにされていますけれども、城さんの目から見て、「この人は10年後に失業してそうかどうか」はわかりますか。
城:人事の視点から、ある程度はわかりますね。基本的に「言われたことしかやらない人」は、非常に危ないと思いますね。仕事というのは、どんどん新陳代謝をしているんです。だから、今取り組んでいる仕事がどんなに重要なものでも、10年後になるとだいたいチープになってしまいます。つまり、「言われたことしかやらない人」というのは、10年も経つと必ずチープなところにいるということになる。
では、どうすればいいのかというと、手探りでもいいので、「今とは違う仕事の軸」を探していくということです。今は、無駄に思えることでも、10年後を見据えて行動する。そういうアクションをまったくしない人は、将来的に失業してしまう可能性が非常に高い気がします。それこそ企業側も終身雇用を維持できなくなっていると思いますし。
西田:ただその「10年後を見据えてチャレンジする」というアドバイスは、特効薬ではなくて漢方薬的ですよね。「とにかく英語を鍛えておけば大丈夫!」みたいなアドバイスするのは、やはり難しいということですか。
城:政府が成長産業を見つけられないのと同じで、個人が将来必要とされる技術や知識を見極めるのは非常に難しいんです。そんなことができる人は、自分で起業してどんどんおカネを稼いでいるはずなので、そもそも「失業」なんて問題にしていません。
では、「将来必要とされる技術や知識を見極められない」という人はどうすればいいのか。私が何より重要だと思っているのは、何が起きても対応できるような「土壌」を作ることなんです。もう少し踏み込んで言えば、「自分で課題を見つけて、それを解決していく習慣」を身につけるということです。