10年後、「無業」に陥らないため今すべきこと 城繁幸と西田亮介、「若者と仕事」を語る(後編)

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一度「仕事」を失ってしまうと、もう戻れない……。『「10年後失業」に備えるために読んでおきたい話』の著者・城繁幸氏と、『無業社会-働くことができない若者たちの未来』の共著者・西田亮介氏が、日本の「失業・無業」の厳しい実態と、社会的な対応策、そして、「私たちが今できること」を語り合う特別対談後編。失敗しても再チャレンジできる、開かれた雇用環境を日本に実現するために必要なこととは。対談の前編『若者は、なぜ「無業状態」に陥ってしまうのか』はこち

 

:今の雇用システムでは、フルタイムで滅私奉公するか、不安定なアルバイトに甘んじるかの二者択一になっています。その中間をもっと増やしていく。国の対策としては、職業訓練とかセミナーとかではなく、そういう流動化を促すことだと思いますね。そして、どうしてもあぶれてしまった人に失業給付なりの手当を出せばいい。

その点、中小企業は、慢性的に人手不足ですし、終身雇用・年功序列も厳密に守られていないので、その辺りはおおらかです。本人に問題がなければ、職歴にブランクがあっても、産休で休んでもチャンスはある。

社会的地位の低い日本の中堅・中小企業

当記事はプレタポルテ(運営:夜間飛行)の提供記事です

西田:実際、無業状態から回復していく人の行き先としては、中堅、中小企業が多いといわれています。日本では中堅・中小企業の社会的地位が低すぎるのだと思いますね。そもそもその存在があまり知られていません。それから、市民社会と企業社会の距離も遠すぎる。うまく地域社会に根ざしたNPOなどが間に入って、企業と働く人とのコミュニケーションを取り持っていけるようになればよいですね。

ただし、この問題の存在は、中小企業庁やNPOなどによって繰り返し主張されながら実現できていないのが現実ではありますが…‥。また中小企業は直接収益に結びつかない宣伝や採用活動に十分にコストを割くことができないので、なかなか雇用のマッチングが難しいところがあります。

しかし『無業社会』の共著者の工藤啓さんの主催するNPO法人などは、立川市に根付くかたちで、中小企業がどんな求人を出しているのかを細かく把握して、無業者との橋渡しに力を入れています。こうしたグッドプラクティスの分析が必要でしょう。

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