(第28回)「失われた15年」で拡大した所得格差

(第28回)「失われた15年」で拡大した所得格差

1990年代中頃からの「失われた15年」の間に、日本の世帯所得は低下した。

厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、世帯あたりの平均年間所得は、95年の659・6万円から2007年の556・2万円へと、約100万円、率では15・7%ほど低下した。

世帯所得の分布を見ると、年間300万円未満の世帯の比率は、95年の22・4%から07年の31・3%に増加した。他方で、700万円以上の世帯の比率は、同期間に37・2%から27・5%に低下した。また、300万~700万円の世帯の同期間の比率は40・4%と41・4%であり、あまり変化していない。

つまり、中間所得世帯の比率がほぼ不変だった反面、それより所得の高い世帯の比率が減り、より所得が低い世帯の比率がほぼ同じだけ増加したわけだ。

ところで、「300万円未満の世帯の比率が上昇して、700万円以上の世帯の比率が低下する」という現象は、各所得階層の所得が等しい率で減少しても生じる。この場合には、(物価の変化はどの家計でも同じなので)、実質所得の変化率はどの家計も同じであり、何の問題も生じない。

しかし、実際に生じたのは、このようなことではなかった。なぜなら、所得分配の不平等度を表す「ジニ係数」が上昇したからだ。これについて説明しよう。

横軸に人口(家計)の累積百分率、縦軸に所得の累積百分率をとった図を「ローレンツ曲線」と呼び、45度線とローレンツ曲線とで囲まれる部分の面積の全体に対する比率の2倍を「ジニ係数」と呼ぶ。

所得格差がなければローレンツ曲線は45度線になるので、ジニ係数は0になる。他方、一人にすべての所得が集中している場合、ジニ係数は1になる。

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