(第28回)「失われた15年」で拡大した所得格差


 仮にすべての所得階層の所得が等しい率で縮小したとすれば、ローレンツ曲線は不変に留まるので、ジニ係数も変化しない(注)。しかし、総務省統計局の「全国消費実態調査」によると、二人以上の世帯の年間収入のジニ係数は、94年の0・297から、04年の0・308まで上昇したのである。

つまり、この間の所得の変化は、一定率の縮小ではなく、格差を拡大させるようなものだったのである。

(注)社会を構成するN人の人を、所得の少ないほうから順に並べて番号iを振る。第i番目の人の所得をyiとし、Yn=y1+y2+…+ynとする。横軸にn/N、縦軸にYn/YNをとったものがローレンツ曲線である。仮にすべての人の所得がα倍になる場合には、どのnに対してもYn/YNは不変なので、ローレンツ曲線は不変である。

中間層が上層と下層に分解

ジニ係数は定量的に正確な指標ではあるものの、抽象的なのでその意味を直感的に把握しにくい。そこで、前記の期間中に所得分布がどのように変化したのかを、いま少し検討しよう。「国民生活基礎調査」による95年と07年の所得分布は、図に示すとおりだ。

これを見ると、次のことが注目される。第一に、年間所得が600万円程度以上の階層では、95年のグラフを100万円(平均所得の低下額)だけ左に平行移動したものが、ほぼ07年のグラフになっている。

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