社会的責任を果たしている金融機関ランキング上位30--トップは東京海上ホールディングス
2位は250.4点でオリックス。内訳は雇用98.1点、環境77.0点、企業統治+社会性75.3点だ。同社は雇用得点の高さが際立っている。女性管理職比率は15.2%(09年3月時点)と高く、女性を積極的に活用。全社員でも女性比率は4割以上で、結婚後も働けるよう育児の両立制度なども整う。女性だけではなく障害者雇用率も2.35%と高水準。多様な人材を活用する体制ができている。
以下、3位損保ジャパン(248.3点)、4位三井住友海上火災保険(234.0点)、5位リコーリース(228.5点)と続く。
さて、金融機関のCSR活動は製造業と比べて海外では目立ちにくい。「CSRで日本企業に期待するのは環境やその技術を生かした生物多様性の分野」(CSRアジア会長・香港大学教授 リチャード・ウェルフォード博士)と、世界の目はどちらかというと日本の製造業に向いている。
こうした中、金融機関が環境面で世界が注目するような大きな貢献をするのは簡単なことではない。金融機関のCSR活動は、製造業とは違った土俵で、各社の得意分野に絡めた取り組みを行うことが望ましいだろう。たとえば、地方銀行なら本業を生かして、地元の活性化を図るといったことなどが考えられる。このようにそれぞれの業種にあったCSRを進めていくことが、結果的に日本のCSR活動の発展に結び付くことにつながるはずだ。
冒頭でも述べたように東洋経済「CSR企業ランキング」は財務評価による得点を加えていることが大きな特徴だ。財務得点を含まない本ランキングはテスト的なものである。できるだけ早く金融機関の財務評価を完成させ、一般事業会社と並んだ総合ランキングを作ることを目指したい。
(岸本吉浩=東洋経済 財務・企業評価チーム)