関西国際空港の挑戦[4/最終回]--伊丹との統合は実現するか、「関西3空港問題」のゆくえ

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政府案に自治体が猛反発

関西3空港問題を解決するために、国交省は今年5月、関空の救済に向けた政府案をまとめた。12年度にも関空と伊丹空港を持株会社方式で経営統合したうえで、両空港の事業運営権をセットで民間企業に売却し、その売却益を関空の債務返済に充てる、というのが大要だ。

政府案では、伊丹空港について、将来的に「廃港・関空への一元化を検討する」「伊丹の(存続期間の)キャッシュフローから生み出される事業価値や、(売却する場合の)不動産価値も含めてフル活用することも検討する」としており、伊丹空港の廃港だけでなく、廃港後の跡地売却も示唆している。神戸空港の対応については、盛り込んでいない。

一方で、地元の経済界と自治体で構成する「関西3空港懇談会」は、3空港の一元管理を目指すことで合意している。「当面は関西に3つの空港が必要であり、(中略)関西3空港の航空需要の更なる拡大も見込まれる」(関西3空港「懇談会取りまとめ」より抜粋)としており、伊丹存続が前提、との考えだ。

このような背景もあり、地元自治体は政府案に猛反発している。大阪・豊中市の浅利敬一郎市長は「利用者不在の議論だ」と批判。兵庫県は5月12日に、「伊丹の廃港は論外」とする意見書を提出した。

伊丹市の藤原保幸市長は、「週刊東洋経済」のインタビューで次のように語ったことがある。「郊外に大型商業店があるので、駅前にある便利で、かつ人気のお店を閉店せよ--。伊丹廃止論はそう言っているようなものだ」。この主張にも一理あるといえるだろう。

騒音問題が沈静化し、地元のインフラとして定着している伊丹空港について、将来的とはいえ廃止する方向を打ち出した政府案は、踏み込み過ぎた感があるのではないか。

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