柳弘之・ヤマハ発動機社長--黒字化シナリオを実現し、持続的成長で2兆円を狙う

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--発表した12年までの中期経営計画では、先進国のリストラとASEANでの成長が両輪となっていますが、具体的には。

まず先進国では、経費・償却費・人件費・材料費、この四つの固定費削減を年内に終わらせる。すでに前期に不要な経費は徹底的に絞り込み、償却費も減損特損を計上して軽くなった。材料費も600億円削減という目標で進めている。人員は予定どおり8月末に800人の希望退職を実施する。ほか、工場集約も進捗は予定どおりだ。

--中計では欧米市場の需要は回復しない前提ですが、もう少し長い目で見た位置づけは。

経営計画の考え方として、欧米を中心とした先進国での大型2輪や船外機、4輪バギーの需要は向こう3年間増えない前提で収益体質を変えていく。ただ実際の販売は増えており、今後5年ぐらいで見れば、増減がありながらも全体の需要は少しずつ増えていくと見ている。

反省としては、モデル数や在庫が多かったのは事実だ。たとえば米国では大型2輪の基本機種が60ぐらいで、それにさまざまな仕様を含めると200種類程度にまで膨らんでいる。また、過去5年ぐらいは平均10カ月以上の大量在庫を持って販売してきたが、こういった体質は今年大きな手術に踏み切る。機種数は大きく絞り込み、在庫も6カ月まで減らしていく計画だ。

--前期大赤字の原因となったマリン事業、特機事業は今後も続けていくのでしょうか。

体質改善の成果が出てくれば、船外機を含むマリン事業は今期黒字化できるだろう。一方、4輪バギーを含む特機事業は、需要減が厳しく、黒字化は当面難しい状況が続く。特に主な販売先の米国はピーク時には戻らない前提で、03年の水準程度に落ち着くと見ている。そこで米国と日本で生産していた4輪バギーを全部米国に集約するなど、全体の生産効率を改善する。前期大赤字であったが、マリン事業と特機事業は今後も続けていく。

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