実家の親「食べる量が減った」が危険サインの理由 食が細ってくると、生きる力も細っていく

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ですから、高齢者は薬の服用には慎重を期すべき。私の場合、訪問診療をしている高齢の患者さんに対しては、薬はできるだけ少なくするようにしています。先に紹介した「25種類もの薬を処方されていた88歳の女性」に対しても、私は20種をカットして5種類にまで薬を減らしました。これだけ減らしても、血圧や血糖には何の問題もありません。それどころか、その方は以前よりも食欲が増してたっぷり食べられるようになり、顔色も体調もグッとよくなりました。

食べることで体を治していく

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日本の高齢者が「年々食が細っていく」「年々薬が増えていく」という状況を、本人もまわりも「年だから仕方ないよね」と、当たり前のように受け入れてしまっていることが多すぎます。それが自分を衰弱へ向かわせる原因になるかもしれないのに、何の危機感もないまま、唯々諾々と受け入れてしまっているのです。

年老いた親がどれくらいの量を食べているか、どれくらいの量の薬を飲んでいるかに関しては、みなさんもしっかり把握しておくとよいでしょう。「医食同源」という言葉があるように、医療と食事の根っこは一緒です。

この先ずっと、親に「寝たきり」や「認知症」を避け、健康で長生きをしてもらいたいなら、あまり薬に頼りすぎず、「食べることで体を治していくんだ」という姿勢を持ってもらうよう促していくべきではないでしょうか。

佐々木 淳 医療法人社団 悠翔会 理事長

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ささき じゅん / Jun Sasaki

1973年京都市生まれ。1998年筑波大学医学専門学群を卒業後、社会福祉法人三井記念病院に内科研修医として入職。消化器内科に進み、おもに肝腫瘍のラジオ波焼灼療法などに関わる。2004年東京大学大学院医学系研究科博士課程に進学。大学院在学中のアルバイトで在宅医療に出会う。「人は病気が治らなくても、幸せに生きていける」という事実に衝撃を受け、在宅医療にのめり込む。2006年大学院を退学し在宅療養支援診療所を開設。2008年法人化し、現職。2021年 内閣府規制改革推進会議専門委員。 現在、首都圏ならびに沖縄県(南風原町)に全18クリニックを展開。約6000名の在宅患者さんへ24時間対応の在宅総合診療を行なっている。

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