日本のサイバー防衛が心もとなさすぎる3つの訳 経済安全保障の核となる領域の体制整備を急げ

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ITUのGCIの発表と同じ6月28日、イギリスに本部を置く国際戦略研究所(IISS)はCyber Capabilities and National Power: A Net Assessmentとして2年間の研究の成果を発表した。ここでは、サイバー能力と国力に特化して15カ国だけを評価した。ここでは、最近数年に顕在化し、そして、活発化した国家間の戦略的競争がサイバー空間を用いた地経学的なアプローチという視点におけるアメリカ、中国、ロシアの動きに着目し、サイバー空間のポリシーと政策的機能が国家安全保障の中心的な段階に移行したという観点から評価報告としてまとめられている。

ちなみに本報告書ではインド、インドネシア、イラン、マレーシア、北朝鮮、ベトナムとともに、日本は対象15カ国の最下位のグループであるTier3として分類されている。

地経学としてのテクノロジーインパクト

デジタル技術の基盤の変化は、情報の発生した位置、個人が必要とする情報、個人が発信する情報、を収集し、それを分析し、あらゆる目的で利用する、ビッグデータとクラウドシステムの体系へと急激に発展した。さらにクラウドシステムで実現される桁外れの計算量によりあらゆる目的に応用可能なAIの技術が社会全体を変革する。

この様変わりの20年を地経学的に人口と対比してみよう。デジタル技術の根源が個人を中心としたデータとなり、主にマーケティングの源泉としてデータ油田によるビジネスモデルを使ってGAFAが台頭し、世界経済を牽引した。

アメリカ偏重の新たなグローバル産業構造に慌てたEUはGDPRなど、個人情報の懸念でアメリカと対立した。大きな経済の動きは個人データの量に比例するようになった。いまや最大のインターネット利用者を有する中国はインターネットを個人情報の流れの単方向の弁として機能するファイアーウォールで国土全体を包み込んだ。その内側でGAFAと同等の産業が、国内産業として急速に発達した。

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