日本株の命運を握る、キーパーソンは誰か 山崎 元が読む、ちょっと先のマーケット

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一方、作業は十分進んでいるはずなのだが、具体的なポートフォリオの情報に関しては、現在、厳しい箝口令が敷かれているようで、筆者の耳にまだ入って来ない。来年に「年金一元化」を控えた、3共済(国家公務員、地方公務員、私立学校共済)では、共通の運用の基準となる「モデル・ポートフォリオ」を早く発表してもらわないと、来年度の運用計画策定の作業が進められないのだが、まだ出てこない。

他方、最近の株価の動きを見ていると、前場に下げた株価が、後場にジリジリ戻るような、展開が多い。日経平均の値動きは妙に小幅である。1990年代の公的年金の株式買いは、上値を追って買うような形ではなく、下値を拾って行くような、ジリジリした買い方だった。GPIFは基本ポートフォリオの資産配分に関する縛り(許容乖離幅)をすでに撤廃しているので、ある程度買い始めている可能性もある。

塩崎大臣に期待すること

詳しくは述べないが、筆者は、上記のような方向でのGPIF改革に批判的である。(1)需給による株価対策は一時的な効果しかない、(2)公的年金が民間企業の株を持つことには弊害がある、(3)公的年金のガバナンスへの関与には限界がある、(4)そもそも公的年金の積立金が過大だ、というのが主な理由だ。

塩崎大臣に期待したいのは、一時的な株価対策や薄っぺらな企業のガバナンス改革に口を出すことのような「つまらないこと」ではない。満を持して登場した塩崎大臣である。せっかくなら、批判するよりは、期待の弁を述べたい。

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