年金に関して期待したいのは、年金制度の本格的なリフォーム(改革)だ。生活保護や税制など他の再分配政策との整合性を取りながら、民主党政権時代に停滞した公的年金の根本的なリフォームに手を着けて欲しい。この際、公的年金は規模を小さくしつつ世代間の不平等をなるべく早期に縮小して欲しいし、年金積立金に関しても縮小の方向に持っていくべきだ。
雇用に対する規制緩和が重要
資産の運用は、「民間でできること」であり、かつ「民間でやった方が上手く行くこと」でもある。経済に詳しい塩崎大臣には難しい話ではないと思う。「アベノミクス」は、もともと分配政策を欠いた経済政策パッケージだ。年金に加えて、生活保護にも関わる厚生労働省の大臣だけに、塩崎大臣には、分配政策の大胆な見直しを期待したい。
また、アベノミクスのいまだ放たれざる「第3の矢」である成長戦略にあっては、規制の緩和が中心となるべきであって、中でも雇用に関する規制緩和が重要だ。塩崎大臣は、正社員の解雇規制の緩和に対して積極的な意見をお持ちだと拝察するが、労働問題も塩崎大臣の所管であり、本問題の積極的な推進を期待したい。
さらに、今後の日本の成長分野とされる医療関係、介護関係も、厚生労働省の所管だ。医療関連の規制は「岩盤規制」の典型例であり、抵抗は大きいだろうが、塩崎大臣の手腕と実行力に期待しよう。考えれば考えるほど、厚労相の役割は大きい。
ところで、読者は、前任の厚労大臣の名前を覚えておいでだろうか。田村憲久(たむらのりひさ)氏だったが、思い出せただろうか(筆者は少し時間がかかった)。これでおわかりのように、第1次安倍政権は、厚労省・厚労相の存在感が希薄だった。第2次政権では、何はともあれ、塩崎厚労大臣に大いに期待し、注目しよう(批判は「まだ」しない)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら