ハイテク思想家が予想する2035年の「新たな世界」 SNSの次に世界を席巻するミラーワールド

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拡張現実の「もう1つの世界」が登場したとき、日常に起こる変化(写真:Georgijevic/iStock)
技術革新がこのまま続いた場合、5000日後の世界はどうなっているのか。WIRED誌創刊編集長で、テクノロジー界の思想家的存在であるケヴィン・ケリー氏は、2035年ごろには「ミラーワールド」という、拡張現実の「もう1つの世界」が到来する、と予測する。その「新たな世界」ではスマートグラスなどをつけて、日常的にバーチャルな世界で働いたり、世界中の人と会話したりできるようになるという。同氏の新著『5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れる』から一部抜粋して紹介する。

ある場所の「過去」と「未来」をすぐに見られる

ミラーワールドの世界では、歴史は「動詞化」します。例えば、空間に手をかざしてさっと振るようにスワイプするだけで、時間をさかのぼってその場所に以前にあったものを呼び出することができます。

あなたが東京の街を歩いているとして、そこに100年、200年前の東京の街角の姿を選んで重ねて見ることができる。スマートグラスに搭載されたAIに「ここは100年前にどんな感じだったか」と尋ねればいいのです。そしてもう少し進んで、200年前の姿はどうかと目盛りをずらすと、その時代の風景になります。その建物が過去からどう変化してきたかを見ることもできるのです。

観光用のサイトなどで使えば価値も出ますね。例えばローマに行って、この建物は廃墟になる前にはどんな姿だったかを問いかけると、それに重ねて昔の姿や周りにあったものなどを表示してくれ、過去のローマの姿から歴史を実感できるといった具合です。こういう情報は、歴史に興味がある旅行者用に、誰か一般の人が作ってアプリにして売ってくれればいいのです。

反対に、この場所が百年後にどうなるかを、アーティストたちがSFのように描いてくれるのもいいかもしれません。このように、ミラーワールドとはある意味で、三次元空間に時間の要素を加えた4Dの世界であるとも言えるでしょう。

世界中のどこにでも、実物と同じサイズのバーチャルな「デジタルツイン」が存在していて、スマートグラスをかけたときだけ、実物の上に投影されるというアイデアもあります。そうした場合に使われるスマートグラスは、ある意味スマホの次に来るもので、タブレットをいつもポケットに入れておくのではなく、それを身につけて画面を表示するウェアラブル装置として使います。

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