ハイテク思想家が予想する2035年の「新たな世界」 SNSの次に世界を席巻するミラーワールド

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画面を表示したり電話をかけたりしたいときは、仮想的な画面をリビングに投影してくれます。また、バーチャルな友人や会社の同僚を映し出して、彼らと「会う」こともできます。あなたは自分の部屋の椅子に座っているだけでいい。するといろいろな情報が、あるべき場所に重なって見える。近い将来、現実の世界にある道路や部屋、建物などすべてのもののデジタルツインがミラーワールドに出現するようになるでしょう。

そしてそれは、私が先ほど説明したようなゲームやナビゲーション、授業やトレーニングなどあらゆるものに利用できるようになるのです。ちなみに、世界中で数億人に愛されている「ポケモンGO」というゲームは、実際の場所にスマホをかざすと仮想的なキャラクターが画面に出てくるもので、ミラーワールド到来の片鱗を示してくれました。ゲームはつねに、テクノロジーが培養される場所です。

コロナ禍によって20年ほど前にできたビデオ会議システム(Zoomなど)が実用的なものになりました。ビデオ会議システム自体は20年ほど前からあったテクノロジーでそれほど変化もしていないのですが、それが非常に安価になり、使いやすくなって、誰もが使って慣れてきた。

これが思いのほか役に立ついいツールだという発見は、多くの人にとっては衝撃でした。ビデオ会議システムの普及のおかげで、目の前の平たい画面に映る人に向かって話したり説明したりすることが当たり前になりました。これはミラーワールド実現のための先駆けになるのではないかと思います。

SNSに続く「巨大プラットフォーム」の到来

ミラーワールドとはつまり、世界が機械によって認識できるようになる、ということです。第1のプラットフォームであるインターネットは、世界中の情報をデジタル化し、検索可能にして答えを出せるようにしました。それこそが、われわれがいまも使っているウェブというものです。

その次の世代の大きなプラットフォームは、人間の行動や関係性を捉えて、人間同士の関係をデジタル化するというものでした。それは「ソーシャルグラフ」と呼ばれ、機械が人間関係を認識できるようにしたもので、人間関係や行動に対してAIやアルゴリズムを適用できるようになりました。第2の大きなプラットフォーム(ソーシャルメディア、SNS)の出現です。

そして、それに続く第3の大きなプラットフォームが、物理的な全世界をデジタル化したもの(ミラーワールド)です。現実の世界や関係性を検索し、それを利用して新しいものを生み出せるよう、AIやアルゴリズムを適用するものです。その優れた点は、それらを見ることができるだけでなく、対象がデジタル化されているので、機械がそれらを読めるということです。

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