ハイテク思想家が予想する2035年の「新たな世界」 SNSの次に世界を席巻するミラーワールド

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ミラーワールドはよく「空間ウェブ」と呼ばれますが、それが三次元の広がりを持ったものだからです。空間的な世界を現実世界で利用可能なものにするためには、われわれが作るあらゆる人工物をその一部として構成しなくてはなりません。

それは「マッピングをする」ということで、例えばある部屋や家の(位置関係の)地図を作ってミラーワールドの中に位置付けます。「この家は外に通りがあるので隣家とつながっており……」などといった関係性を示したものがセマンティック(意味的)な関係性で、それは非常に具体性のあるものです。

セマンティックウェブの仕組み

似たような試みとして、われわれはかなり前から、モノのインターネット(IoT)についても論議してきました。IoTは、非常に小さなチップを付けたラベルを、すべての瓶や椅子や本に貼ると、それらが無線でインターネットにつながり、電力も供給されるという仕組みでした。

しかし物理的な形で接続するのは難しく、これまで長いこと、意味的な関係を定義できるインターネットとしての「セマンティックウェブ」は不可能と言われてきました。そこで、それよりも画像などで現実の空間にあるものを認識して、すべてのものをセマンティックに接続するほうがうまくいくということになったのです。

例えば、スマートグラスをつけて、セマンティックウェブの世界にいたとします。そこで机を見ると、水の入ったコップがあったとします。それを見る行為によって能動的にコップが検知され、この世界のマッピングがやり直されます。そしてその結果は、具体的な配置を知っているAIに報告され、AIはコップを個別に分離したうえで、そこにコップがあると判定するのです。

私はコップが机の上にあることに気づき、先週からずっとそこにあったのと同じものと理解し、それを動かせば何かが起き、それを持ち上げて相互作用が起きる。AIはそのコップの種類や誰が作ったものかも教えてくれる。

ですからこのコップはある意味、接続されたものになっています。それはチップによる電流によってではなく意味による接続で、その対象がほかのすべてのものとの関係において位置が決まっており、その意味付け(位置付け)はAIを介して行なわれます。

次ページすべてがAIと接続されるとどうなるか
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