年間維持費24億円「新国立」の未来が不安すぎる訳 五輪後初の大規模イベント開催も運営は未知数

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担い手についても、プレヒアリングに参加した複数の民間事業者にJSC側から質問を投げかけ、その回答を12月3日に提出してもらい、今は内容確認を行っている真っ最中。具体的な事業者数や方向性などは一切非公表で、先々のことは見えていないのが実情だ。

新国立はJRの千駄ケ谷・信濃町、都営大江戸線の国立競技場、東京メトロ銀座線の外苑前など複数駅にアクセス可能で、ロケーションは抜群である。それだけに、東京オリパラのために作った海の森水上競技場や大井ホッケー競技場のようなアクセスに問題のある施設に比べると有効活用できる可能性は高い。が、施設として複数の問題がある。

まず、サッカースタジアムとして見たとき、アウェー側ゴール裏の大型搬入口が大きな懸念材料だ。この設置は国際オリンピック委員会から課されたオリパラメインスタジアム設置条件の1つだったというが、わざわざこの場所に作るべきではなかった。

ゴール裏の改修はできるのか

実際、今回の天皇杯決勝でも大分のゴール裏は中央で分断された雰囲気になり、一体感が醸成しづらいように映った。2020年1月のこけら落とし以降の大一番を振り返っても、2020年元日の天皇杯決勝の鹿島アントラーズ、2021年同・ガンバ大阪、そして今回の大分とアウェー側が負けている。それもゴール裏のネガティブムードの影響かもしれない。「サッカーをメインにするならゴール裏を作り直さなければダメ」というベテラン記者もいるほど、評判が悪いのは事実なのだ。

天皇杯決勝の大分ゴール裏の様子(写真:筆者撮影)(写真:筆者撮影)

「これに関しては、確かに厳しいご意見をいただいています」とスポーツ庁担当者も認める。だが、それを改修するか否かは運営権を買い取る民間事業者の意向次第ということになる。その事業者が自ら費用負担できる状況なら改修は可能だが、国費負担を打診してきた場合は難易度は一気に上がる。

オリパラ運営費総額が当初予定の3013億円をはるかに超えている今、政府が新たな改修費を上乗せすることは困難と言うしかない。となれば、当面は「使い勝手の悪いスタジアムのまま」ということになってしまうのだ。

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