10年後に当たり前になる「もう1つの世界」の正体 拡張現実によって新しい世界が築かれる

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それは言語の生成と似ています。ある言葉が社会的に認知されると、綴りが固定化するように意味や使い方が固定化されます。そうやって英語のような言葉ができれば、それのおかげで、非常に多様な本や書き物などが生み出されます。つまり、ある種の大型の勝者がいくつかあると、それのおかげで何万もの小さな勝者が可能になるということです。新しいチャンスなのです。

ミラーワールドは、すでに静かに動き出しています。そしていまでも2000ドル(約22万円)程度のスマートグラスを買えば、そのデモを見ることもできます。

今後10年ほどのうちに、仕事の現場で使える何らかのスマートグラスが出てくるでしょう。主にオフィス仕事以外の、例えば現場での機械修理、工場での訓練や労働、製品開発をする工業デザインにおいて、ミラーワールドのようなものが使われると思います。大企業ではデスクトップ代わりに使われているかもしれないし、学校にも入っているかもしれません。

そして今後約25年のうちに、より実用的なスマートグラスができて、一般人も使えるようになると思います。それまでは、家庭ではなく会社での利用や、ゲームでの用途が主となるでしょう。

拡張現実は「もう1つの選択肢」となる

次に、コインの裏側も見てみましょう。ミラーワールドのテクノロジーについて、「われわれの社会を監視社会にし、大きな意味で人間を機械化してしまうのではないか」「一体それによって、人間はより幸福になるのか」と聞かれることがあります。

幸福についての話は、非常に込み入ったものになりますね。現在も幸福については研究が行われ、幸福の定義方法や、人々が幸福かどうかを判断する基準などが論議されています。最近の研究では、様々な種類の幸福があることがわかってきました。

こうした研究についていろいろ聞いてみると、進歩と幸福には関係があるということがわかりました。これまでは金持ちで繁栄している人ほど幸福だということになっていましたが、最近は富があっても幸福さが増すということはなく、かえってそれが否定的に捉えられています。

「ARやミラーワールドは人々をより幸福にしてくれるのか?」という質問に戻りましょう。正直に言えば、私にはわかりません。しかし思うに、人々は健康で自分の時間を自由に使えれば、より幸せになったと感じるでしょう。他人に支配されずに自分の行動を自分で自由に決められれば満足です。それこそテクノロジーがわれわれに与えてくれる、選択肢の多様性です。

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