10年後に当たり前になる「もう1つの世界」の正体 拡張現実によって新しい世界が築かれる

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技術革新がこのまま続いた5000日後の世界はどうなっているのでしょうか?(写真:dragonstock/PIXTA)
技術革新がこのまま続いた場合、5000日後の世界はどうなっているのか『WIRED』誌創刊編集長で、テクノロジー界の思想家的存在であるケヴィン・ケリー氏は、2035年ごろには「ミラーワールド」という、拡張現実の「もう1つの世界」が到来する、と予測する。その「新たな世界」ではスマートグラスなどをつけて、日常的にバーチャルな世界で働いたり、世界中の人と会話したりできるようになるという。SNSの次にくるという巨大プラットフォームは世界をどう変えるのか。同氏の新著『5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れる』から一部抜粋して紹介する。

「ミラーワールド」を運営するのは誰になるのか

ミラーワールドをビジネスの観点から考えてみましょう。まず、ミラーワールドを運営する主体は誰になるのでしょうか。

現在のインターネットの運営は政府ではなく、DNS(ドメイン名システム)を管理するNPO団体です。しかしそのシステムを走らせているサーバーは主に会社の所有です。インターネットを運営している団体は、アメリカにあるかアメリカ資本と思われていますが、アメリカ政府が運営しているわけではありません。運営しているのはアメリカの市民と団体なんです。

こうした現状を踏まえて考えれば、未来においてミラーワールドを運営するのは、少なくとも西側諸国では政府以外ということになるでしょう。商用である必要は必ずしもなく、NPOや他の組織団体が底辺の部分を支えてくれるでしょう。

またグーグルのクロームやアップルのサファリのように、大手の会社が、ネットのブラウザーに当たる製品を提供する可能性もあります。上位のレベルでは会社が関与してくるのです。

ミラーワールドを動かすビジネスモデルはどういった形になるでしょうか。まずは、現在のインターネットやソーシャルメディアのように、広告収益モデルになることも考えられます。しかし、人々のアテンション(注目)を集めることが唯一の収益源となるのは、あまり望ましいシナリオではありません。

ミラーワールドでは、人々のアテンションを高い解像度で追跡し、操作することが可能になります。つまり、ユーザーが簡単に搾取されてしまうのです。長期的には、ミラーワールドは水道やブロードバンドのように、毎月定額を支払うサブスクリプション・モデルになることが考えられるでしょう。

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