葉っぱビジネスで町を元気に!徳島自治体の事例 人口1500人弱の町で生まれた意外なビジネス

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徳島県上勝(かみかつ)町は、人口が1500人弱の小さなまちです。人口の半分が65歳以上であり、面積の86%が山林という、いわば山奥の田舎となります。見方によっては、限界集落のような特徴も含まれているかもしれません。

そんな上勝町なのですが、あるビジネスが順調なようです。わかりますか? 彼らが手掛けているのは“葉っぱ”が大いに関係しています。

旅館や料亭などで食事をすると、料理の横に「つまもの」が添えられていることがあります。たとえば、色鮮やかな季節の葉っぱがお皿のふちに添えられているのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。これのことです。

上勝町では、そのつまものを全国の料亭に出荷することで、地域ならではの「葉っぱビジネス」を成功させています。

発起人は、農協職員の横石知二さん(現:株式会社いろどり代表取締役)。横石さんは、町の高齢者や女性が活躍できる仕事を模索する中で、山々にある“葉っぱ”に注目。葉っぱをつまものとして販売するという斬新なアイデアを考案されました。生産農家や農協とも連携しながら、全国各地に厳選の葉っぱ「彩(いろどり)」をお届けし、多くの方から支持されています。

(【2023年10月18日13時30分追記】初出時の葉っぱビジネスの説明について一部修正しました。)

「年間売上1000万円」のおばあちゃんも

この葉っぱビジネス、スタートしたのは1986年のこと。すでに40年近く続いている事業であり、現在では仕組みが確立されています。株式会社いろどりのホームページには、その仕組みが次のように説明されています。

「営農戦略・栽培管理は農家、受注・精算・流通は農協、市場分析・営業活動・システム運営は私たちが行う、三位一体のビジネスです。特徴は、商品が軽量できれいであり、女性や高齢者が取り組みやすいことです。多品種少量生産であり、種類は300以上、1年を通して出荷しています。現在上勝町内の農家は約150軒。年商は2億6000万円。中には、年間売上が1000万円を超えるおばあちゃんもいます」(※出典:「株式会社いろどり」のサイト)

さらに株式会社いろどりでは、パソコンやタブレット端末から「上勝情報ネットワーク」にアクセスし、受注情報、市場情報、今後の予測、栽培管理情報を駆使するなど、まさに情報通信技術活用によるビジネスの成長も実現しています。

このビジネスのおかげでまちには活気が生まれ、まちづくりのモデルとしてメディアにも取り上げられています。2012年には映画『人生、いろどり』にもなりました。そこから波及するように、農業体験希望者や移住希望者も増えているそうです。

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