落ち葉で「年間2億6000万円稼ぐ」徳島企業の実態 人口1500人弱の町で生まれた意外なビジネス
さて、この上勝町の事例からわかることは何でしょうか? ポイントはふたつあります。
ひとつは、自分たちのすぐ近くにある環境の価値に気づいたこと。そしてもうひとつは、原価思考をしなかったことです。
まちづくりも経営もそうですが、うまくいかずに苦しんでいる人ほど「原価で考える」癖がついています。原価を計算して、そこに自分たちの利益を乗せて価格を出すという考え方です。しかしそれでは、儲けの幅が決まってしまいます。
一方で、「最終的にどれくらい価値を生むのか?」から出発して、その後に原価を検証するのが「価値思考」。すると、儲けの幅は割と自由に設定できます。
葉っぱのような原価ゼロのものが見つかれば、それは非常に頼もしい存在になります。でも「原価思考」で進めてしまっていたら、そこまで高い値段はつけようとは思わなかったはず。
今回のように「価値思考」にすれば、葉っぱの値段をあまり気にしないで、「これくらいの値段でも買ってもらえるのでは?」という発想になり、強気の値段設定も割とできたりするのではないでしょうか。
一見「ありふれたもの」に価値がある
弱者の戦略を基本とするまちづくりでは、これまでのまちづくりで「当たり前」としてきたことを、あえて見直すという視点が欠かせません。その際、そこに住んでいる人は気づきにくいものでも、外部の人が気づくということもあります。
わかりやすいところだと、「雪が少ない国の人には、雪があるだけで魅力となる」ということです。いつも雪がある地元の人は、それを価値とは思いませんが、そうでない地域の人には訪れる理由になります。
また、「海がない地域の人には、海があるだけで魅力になる」のもそうです。沖縄などはまさにそうで、きれいな海でゆっくり泳ぐことができない本州の人にとって、飛行機を使ってでも訪れる価値があるといえるのです。
これらの例はあくまでもわかりやすいものであり、各地域にある強みは必ずしもすぐに見つかるとは限りません。だからこそいろいろな地域を訪れて、相対的な視点を養うことが大切。比較しながら、その場所にしかないものを探してみるのです。