葉っぱビジネスで町を元気に!徳島自治体の事例 人口1500人弱の町で生まれた意外なビジネス

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さて、この上勝町の事例からわかることは何でしょうか? ポイントはふたつあります。ひとつは、自分たちのすぐ近くにある環境の価値に気づいたこと。そしてもうひとつは、原価思考をしなかったことです。

まちづくりも経営もそうですが、うまくいかずに苦しんでいる人ほど「原価で考える」癖がついています。原価を計算して、そこに自分たちの利益を乗せて価格を出すという考え方です。しかしそれでは、儲けの幅が決まってしまいます。

一方で、「最終的にどれくらい価値を生むのか?」から出発して、その後に原価を検証するのが「価値思考」。すると、儲けの幅は割と自由に設定できます。

身近にある資源に気づき、かつそれを原価で考えるのではなく価値として捉えること。それによって、地域全体を活性化させるほどのビジネスをも生み出すことができます。上勝町における生産農家・農協・株式会社いろどりの三位一体の取り組みはまさに、そのもっとも優れた事例の一つと言えそうです。

一見「ありふれたもの」に価値がある

弱者の戦略を基本とするまちづくりでは、これまでのまちづくりで「当たり前」としてきたことを、あえて見直すという視点が欠かせません。その際、そこに住んでいる人は気づきにくいものでも、外部の人が気づくということもあります。

わかりやすいところだと、「雪が少ない国の人には、雪があるだけで魅力となる」ということです。いつも雪がある地元の人は、それを価値とは思いませんが、そうでない地域の人には訪れる理由になります。

また、「海がない地域の人には、海があるだけで魅力になる」のもそうです。沖縄などはまさにそうで、きれいな海でゆっくり泳ぐことができない本州の人にとって、飛行機を使ってでも訪れる価値があるといえるのです。

これらの例はあくまでもわかりやすいものであり、各地域にある強みは必ずしもすぐに見つかるとは限りません。だからこそいろいろな地域を訪れて、相対的な視点を養うことが大切。比較しながら、その場所にしかないものを探してみるのです。

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