アメフトと二刀流で挑む「ボブスレー」五輪への道 中学の不登校期間中に「アメフト」と出合い転機

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

栗原曰(いわ)く、「海外の強豪国は、身長190cm、体重110㎏で100m走が10~11秒台、みたいな選手がゴロゴロいる」という。栗原がボブスレーで求められているのも、この能力だ。彼は4人乗りの最後尾でそりを押す、「ブレーカー」というポジションを担っている。そこで、アメフトの経験が生きる。

「アメフトは相手とコンタクトをして相手に自分の力を伝えるんですが、ボブスレーも、自分の力をそりに伝えて動かさないといけない。その部分に関しては共通点があるので、アメフトで培ったものをそのままボブスレーに生かせていますね」

挑戦は自分にとって、プラスしかない

しかし、いくらアメフトで培った能力をボブスレーに生かせるとはいえ、まったく経験のない競技だ。不安や恐れはなかったのだろうか?

「もちろん新しいことを始めると大変な部分はありますけど、それ以上に勉強になる。これまでとは違う世界が見えて人生観が変わりますし、自分のプラスになることしかないのを知っているので」

ボブスレー日本代表としての栗原選手の活躍に期待がかかる(写真:公益社団法人日本ボブスレー・リュージュ・スケルトン連盟)

新しい挑戦は、自分にとってプラスしかない――。栗原には、それを強く実感できた経験がある。2015年、NFLへの挑戦と並行して、7人制ラグビーの日本代表合宿に参加したことだ。アメフトをやっているだけでは知りえない、トップクラスのラグビー選手たちの“凄さ”を実感した。

「2015年にセブンズラグビーの日本代表チームに帯同して、自分に足りていない能力がわかったし、逆に自分の強みも再確認できました」

7人制ラグビーに本気で取り組んだからこそ、自分の新しい可能性を知ることができた。その経験は、アメフトにも還元された。

「2015年にNFLの選手たちとトライアウトテストを受けたとき、足の速さを測る『40ヤード走』で自己ベストを出して、105人中5位という好成績を収めました。やっぱり新しい挑戦は、必ずプラスになって自分に返ってくるんだなと」

アメフトとは異なる競技に挑戦した当時の経験があるからこそ、ボブスレーの世界にも飛び込めた。

「ボブスレーを始めるときも不安がなかったわけではありません。けど、必ずその不安を越える自分にとってのプラスが返ってくるとわかっていたので。楽しみのほうが大きかったですね」

オンライン取材に応じてくれた栗原嵩選手(筆者撮影)

栗原が知っているのは、新しい挑戦の“プラス面”だけではない。挑戦しないことの“マイナス面”も痛感している。彼の中学生時代まで話はさかのぼる。

次ページ”暗黒時代”と呼ぶ中学生時代の経験
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事