日本人の"コーヒー偏差値"を変えた、あの一杯

セブンカフェ出現で、1万円コーヒーが売れる?

この明確な戦略の下で、マクドナルドはプレミアムローストを提供するために、コーヒー豆にこだわり、店頭でコーヒーを淹れるトレーニングも強化した。そして2008年、プレミアムローストは大ヒットしたのだ。

マクドナルドのプレミアムローストは、2008年当時にマクドナルドが戦略的に考え抜いた周到な商品ポートフォリオ戦略の産物なのだ。プレミアムローストは、マクドナルドの2011年までの売り上げ成長を支え続けた。

牛丼の「すき家」、回転寿司、ファミレスなどでも、本格的コーヒーを出すようになった。どれも新規顧客を獲得し、さらに定着させることを狙っているのだ。

大規模実験を経て挑んだ、セブンの執念

セブンカフェの狙いも、コーヒーそのもので稼ぐことではなく、新規顧客の獲得と定着化だ。ただ、この発想だけなら、他社でも考えついたかもしれない。セブンの本当にすごいところは、2013年初頭に全国1万6千店でセブンカフェを全国展開するのに先だち、あらかじめ仮説を検証し、数字で裏づけたことだ。

セブンは2012年から2013年1月にかけて、北海道の全861店を含む1799店でセブンカフェの試行販売を行った。その結果、北海道の客数が全国平均を上回ったのだ。9月が+6.3%、10月は+4.0%、11月が+2.9%、12月が+3.8%だった。

さらに調理パンの売り上げは3割増、スイーツは2割増になった。消費者は「併せ買い」をしたのである。こうしてセブンは「新しい利用シーンを創出できる」ということを確信し、全店導入を決定したのである。

他業種の企業が一斉にコーヒービジネスに取り組む理由。それはセブンやマクドナルドの事例を見れば明らかだ。新しい消費者を呼び込むとともに、彼らを固定客として、定着を図ることができるのだ。いま、差別化の手段として各業界がコーヒーに注目するのは、これだけの大きなメリットがあるからだ。

コーヒー業界が取り巻く環境は、いま、実にホットだ。加えてコーヒー業界は最新ビジネス戦略の宝庫でもある。いま、あなたが手にとって飲んでいる1杯のコーヒーについて深く考えてみると、実に様々なことを学ぶことができるのである。

※次回は9月20日(土)に公開予定です

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