ロケットがなぜ飛べるか「科学絵本」が伝える本質 揚力や推力を生み出す仕組みをわかりやすく解説

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風がスムーズに避けていく(出所)『ロケットかがく for babies (Baby University)』(サンマーク出版)

そしてボールが「しずく」を横向きにしたような形になると、空気の流れである「風」がスムーズに避けていく様子がわかります。さらに、この変形したボールを少し上向きにすると、風の流れが変わって下向きの力が生じ、作用・反作用の法則から飛行機が飛ぶための「揚力」が生まれることが、イラストと力の方向を示す矢印で示されるという流れです。

もちろん専門書ではありませんから、内容は完全ではありません。たとえば揚力を説明するために一般的に用いられる「ベルヌーイの定理」には触れていません。とはいえ正確性を犠牲にしているわけでも決してありません。科学は往々にして1つの現象を説明するのにさまざまなアプローチがあります。本書では絵本に適した、より視覚的で直感的な説明をするために、上述した作用・反作用の法則に基づいたアプローチで説明しています。

ロケットを宇宙へと導く「推力」とは

次に登場するのが推力です。これは作用・反作用の法則に基づく典型的な効果です。ロケットから燃料が後ろに飛び出す「作用」が生じることで、その逆方向に「反作用」が生じてロケットは前に進みます。

もし「作用・反作用の法則」と聞いて「物理は苦手」と思う方がいらしたら、床からジャンプすることを想像してみてください。跳び上がる前に、あなたの足の裏が床を下向きに押しますよね。すると体が持ち上がります。あなたが床を下向きに押す力が「作用」で、その反力として床があなたを上向きに押し返す力が「反作用」。その反作用であなたは上へジャンプできるのです。作用が大きければ反作用も大きくなるため、より強く踏み込めばさらに高くジャンプできます。

ジェット・エンジンやロケット・エンジンが前へ進む力、すなわち推力を得る原理もこれと同じ。後ろ向きにジェットを噴射し、その反力で前に進むのです。

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