日本人とドイツ人「お客様対応」に見た決定的な差 働く人に過剰なサービスを求める和文化への疑問

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ドイツ人が「お客様は神様」という考え方と無縁な理由とは?(写真:Masson/PIXTA)
コロナ禍が長引く中、しばしばニュースになる社会問題の1つが「カスタマーハラスメント」、略して「カスハラ」だ。
カスハラは「消費者・顧客による悪質ないやがらせや迷惑行為。理不尽なクレームや暴言を繰り返す、度を超えた謝罪や対価を要求する、暴行を加えるなど」(デジタル大辞泉)と定義されるが、マスク・消毒・移動制限といった感染対策を強いられて、不安やストレスが重なっているせいか、店舗・従業員に対する迷惑行為や悪質クレームが後を絶たないという。
もともと日本では「おもてなし」が重視され、「お客様は神様」と考える傾向が強いことと無縁ではないだろう。一方、海外では、思いのほか顧客対応が素っ気なく、客を無視しているのではないかと感じることも少なくない。
だがそれは、必ずしも顧客を軽く見ているのではなく、客も従業員も対等な関係にあるという共通認識によるものかもしれない。一例として、ドイツ在住20年を超えるライフアドバイザーのキューリング恵美子氏の新刊『ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか』から一部抜粋、再構成してお届けする。

「客」も「自分」も同じ人間

日本では「お客様は神様」という考え方がありますが、ドイツにはそういった意識はいっさいありません。そのため、移住してまもないころに、次のような経験もしました。

初めて1人でスーパーに買い物に出かけたときのことです。私はスーパーの中の精肉コーナーに店員さんがいるのを見て、ドキドキしながら、

「Hallo!(ハロー)」

と、挨拶しました。ところが、返答がありません。

客は私1人だけ。店員さんはひたすら肉やハムの陳列を続けて、私のほうを見てもくれませんでした。聞こえなかったのかもしれないと思い、再度「Hallo!」と少し声高に言ってみました。すると、

「Ich habe nur zwei Hände(イヒ ハーベ ヌア ツバイ ヘンデ/『私には手が2つしかない、時間がないのよ』の意)」

と言われて、ビックリしました。愛想も何もありません。最初のころは、なんてひどいサービスなんだろうと思いました。

でも今は、こういった応対は、1人の人間として当然なのだと思っています。

ドイツでは日本のように「何よりもお客様を優先してサービスする」ことはありません。自分に割り当てられた仕事を遂行することに勤勉なので、その仕事を阻害する物事は、たとえお客からの依頼だとしても、自分の役割ではないと考えるからです。

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