日本人とドイツ人「お客様対応」に見た決定的な差 働く人に過剰なサービスを求める和文化への疑問
「客」も「自分」も同じ人間
日本では「お客様は神様」という考え方がありますが、ドイツにはそういった意識はいっさいありません。そのため、移住してまもないころに、次のような経験もしました。
初めて1人でスーパーに買い物に出かけたときのことです。私はスーパーの中の精肉コーナーに店員さんがいるのを見て、ドキドキしながら、
「Hallo!(ハロー)」
と、挨拶しました。ところが、返答がありません。
客は私1人だけ。店員さんはひたすら肉やハムの陳列を続けて、私のほうを見てもくれませんでした。聞こえなかったのかもしれないと思い、再度「Hallo!」と少し声高に言ってみました。すると、
「Ich habe nur zwei Hände(イヒ ハーベ ヌア ツバイ ヘンデ/『私には手が2つしかない、時間がないのよ』の意)」
と言われて、ビックリしました。愛想も何もありません。最初のころは、なんてひどいサービスなんだろうと思いました。
でも今は、こういった応対は、1人の人間として当然なのだと思っています。
ドイツでは日本のように「何よりもお客様を優先してサービスする」ことはありません。自分に割り当てられた仕事を遂行することに勤勉なので、その仕事を阻害する物事は、たとえお客からの依頼だとしても、自分の役割ではないと考えるからです。
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