新庄剛志「部下のやる気を引き出す」掌握術の本質 破天荒なBIGBOSSの裏に正統派のマネジメント

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この厳しくも配慮と愛情を感じる言葉を受けた清宮選手は、すぐに減量を実行。10日後にやせた清宮選手を見た新庄さんは、「この短期間で想像を超える減量に驚いています」「凄い!!髪切って身だしなみもOK」と絶賛のツイートをしました。

同時に、メディアに対して、「『減量しなさい』という意味ではないんですよ。キレの問題とかもあるんですけど、ダイエットをしていく過程って物凄くつらいじゃないですか。でも人間って慣れてくるものなので、それを続けて自分に勝ちなさいと。で、人間ってスッとしてきたら『もっとやれるかな』となるんですよ。(逆に)太ってきたら『明日はいいかな』『今日もいいかな』『明後日にしよう』っていう弱い気持ちになってくるのが人間なので」とアドバイスの意図を明かしました。

清宮選手個人に「成果をちゃんと見たよ」「凄い!!」と明確なメッセージを送っただけでなく、メディアを通じて全選手にも指導の意図を説明していたのです。ネットとメディアを使った2段構えのマネジメントであり、さらに、どちらも部外者から批判されにくいガラス張りの手法でした。新庄さん自身、トレーニングを続けてアスリートとしての体型を維持し続けていることも含め、説得力に満ちていたのです。

主力に「もっとできる」と伝える理由

吉田輝星投手のブルペン投球を見たときも新庄さんは、「めっちゃ速くね? 俺、現役のとき、打てないわ。速っ」と絶賛。ほめられた吉田投手は、「不思議な力というか、新庄さんが来たときから話をしたわけでもなかったけど、『よし、やるぞ』みたいな感じになりました。ただ監督が代わっただけ以上にそうなっているので凄いなと思います」とコメントしていました。

新庄さんの個別指導は、もちろん若手だけでなく、チームの主力選手にも行われています。東京オリンピック金メダリストの近藤健介選手には、初の2桁本塁打を打って喜んだことについて、「違うでしょ。10本じゃないでしょって。30本、35本打てる素質があるから、あそこ(日本代表チーム)に選ばれた。気持ちの面でもっともっと上を目指してもいいと思う」と熱く激励。また、14年連続50試合登板のタフなベテラン左腕・宮西尚生投手には、真っ先に「70試合放れるか?」と声をかけて奮起を促したそうです。

どちらも実力を認めたうえでのコメントであり、それでいて中堅・ベテラン扱いするのではなく、「もっとできる」という若手選手にかけるような言葉を選んでいることに気づかされました。主軸選手がさらなる進化を見せようと必死になれば、必然的にそれ以下の選手たちが引っ張られる形になり、チーム全体のパフォーマンスが上がっていくものです。

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