新庄剛志「部下のやる気を引き出す」掌握術の本質 破天荒なBIGBOSSの裏に正統派のマネジメント

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また、新庄さんは特守が行われているサブグラウンドに移動するとき、報道陣に手招きして集めました。「人に見られているときと、見られていないときの選手の動きは違います。捕れない打球も捕れるし、自分の中で盛り上がる。そういう意味で協力してもらいました」と、その狙いを語っていたのです。

どちらのエピソードも、「環境を整えて、見ているから、いいプレーを見せてほしい」という選手に健全なプレッシャーをかけるものでした。選手としては、「この環境でいいプレーができなければ1軍では活躍できない」という心境にさせられるのではないでしょうか。

もう1つ目を引いたのは、シートノックで守備位置をシャッフルしたこと。その狙いを尋ねられた新庄さんは、「『違うポジションを知る』ってことは、外野は内野の気持ち、キャッチャーは外野の気持ち。『こういうボールを投げたら捕りやすいんだ』っていうのがわかって、愛情をもって送球できる」とコメントしました。

別のポジションを守らせることで試合出場のチャンスを増やすだけでなく、相互理解を進めチームワークを育もうとしていたのです。これは「異なる業務を体験させる」という一般企業でも使えるマネジメント手法の1つ。しかも新庄さんは、サードに入った外野手・万波中正選手の一塁送球を見て、「(ボールが)伸びてる伸びてる。器用だね」ともり立てることも忘れていませんでした。

なぜ清宮選手の減量は成功したのか

選手への個別指導にも、随所に新庄さんらしさが表れていました。なかでもメディアが最もピックアップしていたのは、清宮幸太郎選手とのやりとり。清宮選手は史上最多の高校通算111本塁打を放ち、2017年のドラフト会議で7球団が1位指名した超大型新人だったものの、ここまで期待されたほどの成績を残せずにいました。

新庄さんはそんな清宮選手の脇腹をつまんで「ちょっとデブじゃね? ちょっとやせない?」と声をかけ、「やせてしまったら打球が飛ばなくなるのが怖いです」と返されると、「今もそんなに打球は飛んでないよ。昔のほうがもっとスリムで飛んでいた。それはキレがあったから。やせたほうがモテるし、かっこいいよ」とストレートな言葉で減量をアドバイス。さらにそれだけで終わらせず、「やせて飛距離とかがものすごく下がったら、めちゃめちゃ食って戻せばいいだけ」と不安をやわらげるフォローの言葉もかけていました。

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