頻発した中国・工場ストライキ、対処できなかった日系企業の落とし穴

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 99年から09年までの約10年間、各企業の年間昇給率を見ても、欧米や中国系企業と比べ、日系企業の方が低い。欧米や中国系企業の伸び率が10~15%なのに対し、日系企業のそれは5%くらいだ。沿海にある日系大手電機メーカーの昇給率は、独自の基準で今年をわずか4%に抑えた。中国のCPI(消費者物価指数)を参照し、それよりやや高い程度に設定したからだ。一方、欧米や中国系企業における昇給率の基準は、主にその企業自身の収益に基づくものである。 

大きく遅れたヒトの「現地化」

また日系企業のヒトの「現地化」も、欧米系企業より大幅に遅れている。それも労使間の摩擦につながった。

ほとんどの日系企業では、現地の課長・部長以上のポストは、日本の本社から派遣された人間であり、現地の中国人や海外にいる中国出身者の採用はごく少ない。一方、欧米系企業では、課長・部長から社長までの多くのポストに、現地の中国人が担当している。

これら管理職や経営陣の構成は、現地の中国人に加え、欧米からの留学組、本社からの中国スタッフ、さらに欧米国籍の中国人や欧米在住の華人・華僑によって、成り立っている。

現地の日系企業では、生産や経営そのものが、日本本社からの熟練の技術者や管理する経営者たちに依存している。日本流の生産現場におけるきめ細かな指導・改善という意味では、欧米系企業のマニュアルのみに頼る手法よりも、一面的には勝っているとも言える。

が、それは日本人を派遣するためにかかる、本社並みの給料や海外滞在手当といったコストを考えると、現地日系企業の過大な負担になる。異文化経営という視点でも、日系企業の慣習や手法は現地人にとっては理解されず、受け入れられにくい。

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