頻発した中国・工場ストライキ、対処できなかった日系企業の落とし穴

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 ジニ係数が0.4以上の場合は、貧富の格差が極めて大きく、不平等の社会という。さらに0.5を超えると、富が過度に集中し、社会・政治の安定が危ぶまれるとされている。政府系の新聞では最近、「わが国では貧富の差が拡大し、社会的に容認できなくなる危険水域に近づきつつある」と、警鐘を鳴らしている。

中国人力資源社会保障省によると、中国における所得格差はあらゆる場面で拡大を続けている。都市部と農村部の収入格差は、3.3倍に達しているほか、業種間の所得差も大きく、最高と最低では15倍の差がある。

企業グループ間における所得差も急速に拡大し、上場の国有企業における管理職の年収は、現場の従業員の約18倍。さらにその企業の上級管理職の年収は、社会全体の平均年収の約128倍にも達した。

毎年80万件にも上る都会や農村での頻発した暴動・デモも、貧富の差が拡大していることと相関している。中国政府は今年1月以来、7月1日までの時点で、全国27の省・市で月平均1000元という最低収入ラインを制定した。これ以上の貧富格差の拡大を懸念し、一党独裁の社会・政治基盤を安定化させるため、格差縮小・是正に取り組もうとしている。

一方、国際的な金融危機をきっかけに、中国の経済成長は、輸出依存型から内需重視型へと変わりつつある。政府はその目標を達成するために、国民の購買意欲向上につながる収入を増やさなければならない。

こうした背景が重なり、外資系企業の従業員の賃金アップ要求は、中国政府の政策や思惑に一致しているのである。そしてこれこそ、中国政府が外資系企業での従業員ストを取り締まらない、最大の原因なのだ。

ちなみに中国では若い労働力人口がピークアウトし始めている。10年から15年に、若年層の労働人口は2000万人減、さらに15年からは労働人口全体が減少すると見込まれている。

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