では、治療薬についてはどうか。
新型コロナに特化した治療法といえば、抗体カクテル療法だろう。新型コロナに有効な抗体を混ぜた点滴治療薬で、現在、日本国内で承認されているのは、中外製薬・ロシュが販売するロナプリーブだ。アメリカのリジェネロン社が作っている。
実は今、このロナプリーブがオミクロン株では効かない可能性が指摘されている。
「これは、ロナプリーブで用いている抗体が結合する領域に、オミクロン株の変異が起こっているためです。抗体薬はウイルスのスパイクタンパクにくっつくことで、細胞に感染するのを防ぎます。従って、抗体がくっつくはずのスパイクタンパクが変異してしまえば、抗体はウイルスにくっつくことができず、感染を防ぐことができなくなります」
対して、グラクソ・スミスクラインがVir Biotechnologyと共同で開発し、9月27日厚生労働省の製造販売承認を取得したソトロビマブに関しては、オミクロン株で見られる変異以外のところに結合するので、効果はおそらくあるだろうということだ。
正しく恐れることが必要
最後に、新しい変異株に対してわれわれはどう「正しく恐れればいい」のだろうか。宮坂さんは言う。
「まず、オミクロン株がわれわれにとってどれくらい驚異か、冷静に見極めることです。実際、脅威かどうかは国によっても違い、少なくとも、日本においてはワクチン接種が進み、また抗体薬も使える状況にあります。何より、国民の多くが今もなお感染対策をしっかり行っています。そこは規制を緩めて感染者を増やしている他の国と大きく違います」
そのうえで、第5波を超えるほどの感染拡大は考えにくいと分析する。
政府は「水際対策強化に係る新たな措置」として、11月30日から全世界からの外国人の新規入国を止めた。こうした対策について、宮坂さんは「オミクロン株がどういうものか現時点ではわからない。時間を稼ぐ必要があります。そういう意味では、今回、政府が実施した水際対策は望ましい」と言う。
「リスクマネジメントの観点からすると、最悪な状態を考えなければなりませんが、不必要に怖がる必要はないと感じています。実際、新たに出てきているエビデンスを見ても、まだものすごく心配というところまではいっていません。何より、われわれができることは決まっています。今までの感染対策を引き続き守っていくことが大事です」
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