辻元氏が語る衆院選「敗因総括」と「維新の強さ」 「憎悪」と「対立」の政治土壌が広がっている

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高槻市と三島郡島本町からなる大阪10区は、大阪や京都のベッドタウンで無党派層が大半を占める。辻元氏と維新、自民の各候補で毎回三つ巴の激戦となる中、2014年、2017年の衆院選では辻元氏が連続で小選挙区を制した。今回も序盤までは各種調査で辻元氏がリードしていた。

ところが、「ローカル」発言が維新に火を点ける。吉村知事は「眼中に入っていってやろうじゃないか」とツイッターに書き、大阪10区の候補者だった元府議の池下卓氏も演説でそのフレーズを繰り返した。

「国政選挙だから、対峙するべきはまず自公政権だと国会の基準で私は言ったんですが、大阪には別の物差しがあった。そこをきちんと認識できていなかったのは大きな反省点です。他府県へ応援に行けば、『説明しない、国会も開かない。そんな政治でいいのか』とストレートに自公批判ができましたが、大阪の構図は違う。維新は自民批判をほとんどせず、立憲・辻元批判で野党票を取り込もうと後ろからバンバン弾を打ってくる。そういう中で、自分の訴えや立ち位置を定めきれなかった。

気がついてみれば、大阪では維新はもはや風じゃないんです。数百人の地方議員を擁する一大政治勢力として根を張り、いざ選挙となれば〝軍団〟でやってきて大選挙運動を展開する。今年8月にあった池田市長選挙(サウナ持ち込みで辞職・離党した元維新市長の出直し選で、維新の前市議が当選した)もそうでしたが、選挙マシーンみたいな組織と動きが出来上がっているんです」

「ローカル」ゆえの維新の強さを見誤る?

大阪において維新はもはや風ではないというのはその通りだ。大阪府知事と大阪市長を押さえて10年。府下の市町長は16人に上り、大阪府議会(定数88)で47議席、大阪市議会(定数83)で40議席を占めるのをはじめ、地方議員は242人を数える。足元の固い組織と旺盛な活動量で地盤を築き上げているところへ、コロナ禍で吉村知事がメディアの脚光を浴び、大きな追い風となった。

ただ、大阪の政治状況を見てきた者からすれば、辻元氏の認識は遅きに失した感がある。たとえば2019年の大阪府議選。大阪10区と同じ高槻市・三島郡選挙区(定数4)で維新は上位2議席を占めた。1人が元衆院議員の松浪健太氏、もう1人が今回辻元氏を破った池下氏。投票率が今回より10ポイント余り低かった選挙で、2人合わせて約8万1000票と今回とほぼ同じ票数を得ている。一方で自民候補は落選。小選挙区が地方議員票の積み上げだと考えれば、相手は自民ではなく維新だと、早くから想定できなかったのだろうか。

「維新の候補者(池下氏)が地元の世襲議員(祖父・父とも高槻市会議員を務めた)なので自民票を取り込むことや、昨年の大阪都構想住民投票が否決された分、揺り戻しが起きる可能性も想定はしていました。ただ序盤はリードしていたし、街頭で感じる空気もいつもと変わらなかったのでトーンを変えずに行ったんです。高校生が熱心に演説を聞いてくれたり、若い女性がわざわざビラを取りに来たり、今までにない反応もあった。『大阪で多くの死者が出たのは維新の政策のせい。あんな政治では大阪がますます衰退する』と言う18歳の男の子もいました。

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