辻元氏が語る衆院選「敗因総括」と「維新の強さ」 「憎悪」と「対立」の政治土壌が広がっている
大阪で維新がやってきたのは、公務員バッシングや既得権益攻撃で支持を広げ、『二重行政だ』と病院を潰し検査機関を統廃合した結果、変異株に対応できず多数の死者が出たとも言われる政治です。コロナで公的なことを大事にしようという方向に本来は向かわなきゃいけないのに、逆の方向へと政治が加速し、それに拍手喝采する人たちが増えているように見えます」
立憲民主党が自公批判票の受け皿になれなかった理由
立憲民主党が自公批判票の受け皿になりきれなかった理由の一つに、近年よく言われる「野党は反対ばかり」というイメージや不信感があるかもしれない。今回維新の顔となった吉村洋文・大阪府知事は盛んにこれを言い、辻元氏の地元、大阪10区の街頭では「以前は立憲・辻元支持だったが、反対ばかりだから維新に変えた」という声を筆者も実際に聞いた。
それを意識したのだろう、辻元氏は選挙戦で「国対委員長として81%の法案に賛成し成立させた」と実績や調整力を訴え、終盤には自社さ政権時代から信頼関係を築く山崎拓・元自民党副総裁の応援を受けた。山崎氏の応援は波紋を広げたわりに不発に終わったが、ウイングの広さを示し、「反対一辺倒ではない」と強調する狙いがあった。
「私は総理や与党を厳しく追及してきましたが、それだけじゃない。たとえば安保法制で激しく議論した中谷元・元防衛大臣とはNPO議連で一緒に共同代表を務めていますし、コロナ対策では与野党の協議会で相当細かく詰めて、いろんな政策を実現した。本来の立法府とはそういうもの。対立することもあるけど、『良いことは党を超え賛成。おかしなことには立ち向かう』(辻元氏が選挙で掲げたキャッチフレーズ)です。大阪で医療が逼迫し看護師が足りなくなったときも、私たち立憲が委員会などで質問・提案して派遣に道筋をつけたんです。
そんな実情を知らず、吉村さんをはじめ維新の人たちは『辻元は国会にいて反対ばかり。何も仕事をしていない』と個人攻撃をする。『みなさん知ってますか、辻元はボーナスを200万円ももらってるんです』とかね。いや、それは維新の議員も同じでしょう。相手を貶めて憎悪を煽るのはフェアじゃない。
維新こそ、野党の出す菅総理への不信任決議をはじめ、「反対ばかり」だったんですけどね。大阪では力があるけど、国会では当時11人しかいない自民党の補完勢力で存在感がなかった。だから私は『維新はローカルだ』と言ったわけです。すると、これが猛反発を呼んでしまった」
「維新は大阪だけのローカル政党。眼中にありません」と辻元氏が発言したのは衆院が解散された10月14日。強気の背景には、野党第一党の国対委員長や副代表を務めてきた自負に加え、序盤の選挙区情勢があった。
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