バス乗り継ぎ旅「市町境を越える路線」の希少価値 震災10年津波被災地をたどる・北上南三陸町編

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10月22日はそのハマーレ歌津10時34分発の南三陸乗合バスの韮の浜線からスタートする。1日2往復だけで、時間があるので掲示や町のサイトだけではわからなかった回数券の発売場所について、運行委託先の歌津交通に電話してみた。結論は、バスの車内でも購入できるとの由。ただ「電話しなければわからない」のも問題だ。

南三陸町のバスマップは正縮尺の地図で時刻表も兼ねており、路線網の把握には非常に役に立ったのだが、ひと言添えておけばお互い手間もかからないはず。

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今回、乗合バスには神割崎入口から数えると計5回も乗り、そのたびに200〜300円払ったから、細かい話だが100円券11枚つづり1000円の回数券が買えれば割安になったはずだった。

韮の浜線自体は、海岸沿いの住宅地を15分ほどでワゴン車が一周するだけの路線だが、好天とも相まって、途中の寄木海岸の風景が印象に残った。BRTで直行するだけではわからない絶景だ。

防災対策はまだまだ進行中

次は1日4往復のうち、歌津駅11時40分発の泊浜線で馬場中山へ。こちらの風景も寄木に負けず劣らず美しい。途中下車して立ち寄る価値があると思う。歌津岬の突端に近い泊浜集会所で折り返して12時04分に着いた馬場中山は丘陵地にある集落で、待っていると3便だけの港・名足線のうち1本だけ、12時54分に馬場中山にやってきてBRT陸前港駅へ抜けられる。

南三陸町の中山漁港(筆者撮影)
陸前港バス停とBRT気仙沼線(筆者撮影)

ぼんやりしているのも退屈だし、名足(なたり)の小さな漁港を一回りする。このあたりは馬場、中山、名足の頭文字を取って「ばなな漁港」とも呼ばれているらしく面白い。

ただ、志津川や伊里前でもまだ進行中に見えた防災・復興工事は、寄木や名足のような小さな集落だと、もっと遅れているようにも見える。それこそ津々浦々にまで「安心」をもたらすには、気が遠くなるような地道な作業が必要だと痛感する。

港・名足線のワゴン車は、13時04分に陸前浜駅前に着いた。宮城県の最北端、気仙沼市との境はすぐそこだ。海岸線に沿って乗り継いできた旅も、いよいよ宮城県卒業が近づいた。

土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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