このまま行けば日本の財政破綻は避けられない 「MMT理論」「自国通貨持つ国は安心」は大間違い

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第3に、有馬記念という無駄なレースが存在することであり、これが最大の問題であり、かつ馬鹿馬鹿しい問題だ。

有馬記念という、シーズンオフの出がらしの芝の上で、出がらしの馬たちを集めて、ボーナスとクリスマスと年末の雰囲気に便乗して行われる、興行としてのギャンブルレースとしては、競馬世界史上最高の発明であるが、能力検定レース、スポーツとしての競馬としては、ただのギャンブルレースである。中山2500という特殊なコースでもあり、だから、波乱も続出し、ギャンブルレースとしてさらなる魅力を高めるのであるが、それはそれで構わない。それどころか、日本競馬を発展させるためのJRAの偉大な発明である。

私が文句を言いたいのは、そのレースの1着賞金がジャパンカップと同じ3億円、来年には4億円になり、あえて、日本の最高の馬たちを集めてレースを行おうとしていることだ。

実際、日本の現在の最強牝馬クロノジェネシス、現在日本最強、天皇賞で実際にコントレイルを負かしたエフフォーリア、菊花賞を圧勝したタイトルホルダーはジャパンカップを回避して有馬記念に出るのである。馬鹿馬鹿しいにもほどがある。

せっかくのジャパンカップの日本最強馬決定戦の意味を、JRAの有馬誘導により失わせているのである。調教師、馬主たちにもがっかりだ。種馬、繁殖牝馬としての価値は、有馬を勝ったところでまったく上がらない。ただ、3億円、3着でも7500万円という賞金だけにつられているのである。最悪だ。

ジャパンカップを「真の日本一決定戦」に

JRAに提案がある。有馬記念を廃止せよ。さもなくば、賞金を宝塚記念と同じジャパンカップの半分にせよ。そして、現在の、天皇賞、ジャパンカップ、有馬記念を3連勝すると特別報奨金が出る制度を廃止し、代わりに、天皇賞、ジャパンカップの2連勝への報奨金に変えよ。

とにかく、ジャパンカップを真の日本一決定戦、さらに将来には世界一のチャンピオン決定戦にしなければ、日本の競馬の未来はない。JRA様、何卒ご検討よろしくお願いいたします。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

小幡 績 慶應義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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