アメリカで注目「民主的子育て」の効果を聞いた 50年の時を経て再び支持されている理由

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ウルフさんにとって最も効果的だったのは、幼児に特定の行動を教える続けることではなく、「モデル化」だったという。

自分の行動をモデル化して境界線を設定するこのスタイルは、子育ての専門家であり、ポッドキャスト「Unruffled」の配信者でもあるジャネット・ランズベリーが推奨しているものだ。このスタイルでは、子どもを尊重し、子どもの感情や成長を受け入れ、必要に応じて親がしっかりと制限することを重視している。

世界的な動物園でプロの動物トレーナーをしているエマさんは、「子どもは境界線を求めており、寛大さはむしろ不親切」だと主張する。

「私の息子が庭で遊んでいたとき、棒を拾って私の車のそばまで持って行って遊んでいました。私はベランダから息子に『棒で車に触れないで。傷がつくかもしれないよ」と言いましたが、息子はその行動を続けました。 私は彼のそばに行き、ひざまずいて言いました。『棒を置くのが大変そうだから、取ってあげるよ』。一瞬抵抗がありましたが、5秒後くらいに『ママ、棒を片付けてくれてありがとう』と息子は言いました」

エマさんは、息子がしつけに「ありがとう」と言ったことに唖然とした。 エマさんは、自分が優しく主導権を握ることで、彼が不可能な決断をしなくて済むようにしたのだと気づいた。彼が「面目を保つ」ためには、母親が優しく主導権を握る必要があったのだ。

心理学者も太鼓判を押す子育てスタイル

が、つねに民主的な子育てスタイルで子どもに接することは難しい、とウルフさんは認める。「疲れていたり、お腹がすいていたりすると、独裁的な子育て(頭ごなしに子どもに接するスタイル)に戻ってしまう傾向があり、そんな自分が恥ずかしいと思ってしまうんです」。

それは、自分がそうやって育てられたからだとウルフさんは考えている。高い期待と明確なルールがあった一方で、「愛情や温かさはあまりなく、それが大人になってからの私には難しかった」と彼女は話す。

一方、ラッコさんの両親は、明確な期待や温かさがないにもかかわらず、悪い行いには厳しい罰を与えたという。そのせいで、ラッコさんと夫は、両親とは異なる子育ての道を選んだ。

25年以上も前から、民主的な子育ては多くの研究で最もポジティブな結果につながっていると指摘されている。子どもたちにはさまざまな育児方法が必要ですが、一貫した育児スタイルには明確な成果がある。高い期待値を持ちながら、温かく接することは心理学者が推奨する最良の育児スタイルの1つだ。

前述の通り、ラッコさんの場合、この強い子育ての成果はすでに現れている。

「私の子どもたちは素晴らしい人間です。それが『強い子育て』の結果であろうと、ただ単に彼らがそう育ったという奇跡であろうと、彼らが親切で、面白くて、賢くて、思いやりがあって、クリエイティブで、楽しくて、ユーモアがあって、愛すべき存在であることは間違いありません」

アイネズ・モーバネ・ジョーンズ ライター/編集者(在シアトル)

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Inez Maubane Jones

アメリカ・ワシントン州シアトル在住。子ども向けの書籍「The Content」シリーズを手掛ける傍ら、自身のブログにて教育トレンドや子育て、社会問題などについて執筆している。

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