アメリカで注目「民主的子育て」の効果を聞いた 50年の時を経て再び支持されている理由

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罰や脅しは避け、積極的な働きかけや合理的な要求、そして公正なしつけをすることが求められる。そのためには、子どもの行動に制限と結果を与え、さらに賞賛やご褒美で前向きな行動を促すことが必要だ。

シアトルに住むマーケティング・ディレクターのロレイン・ウルフさんは、民主的な子育てのコンセプトのほとんどに同意するが、「合理的な要求」という考えには抵抗があるという。

「『合理的な要求』という言葉は、私のスタイルには合わない。 私は、要求が本当に尊重につながるものだとは思わないので、『合理的な依頼』をするようにしています」(ウルフさん)

3歳半の娘を持ち、夫とは別居中の母親である彼女は、娘にAかBのどちらかを選択する機会を与え、その選択の結果を経験させるようにしている。「例えば、娘が靴下を履かないことを選択したとして、しかもそれが雨が降っていて寒い日だとしたら、彼女は、次はもっといい選択をするでしょう」。

「ご褒美はその場しのぎの解決策」

ウルフさんは自分のことを、民主的な親ではなく、積極的な親だと表現する。アメリカのキッズフォーキッズ・ペアレンティグによると、「ポジティブ・ペアレンティング」とは、子どもたちが自制心を身につけるために、「何を」だけでなく、「なぜ」を教えることに重きを置いている。

ウルフさんは娘に、何かを始める前に、自分の行動がもたらす結果を伝える。例えば、遊び場にいる時間が30分しかない場合、帰るまでの短い時間しか遊べない、というようなことを。

もし、彼女が癇癪を起こしたら?「彼女が言うことを聞かないので、その場を離れたことがあります」(ウルフさん)。

「お腹が空いた」「疲れた」「喉が渇いた」と言った典型的なシグナルは認識しながらも、彼女は娘が年上の子どもや、子どもに制限を与えない親の影響を受けていると自覚している。こうした状況では、公正なしつけや積極的な働きかけはしない。ご褒美が裏目に出てしまうことがあるからだ。

「ご褒美はその場しのぎの解決策だと思います」と彼女は言う。「実際、子どもの要求はさらに高くなり、自分を落ち着かせるためのご褒美を期待するようになってしまうのです」。

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