韓国女性「ヘアカーラー巻いたまま」外出する真因 厳しい美やジェンダーの基準から自由になる

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それでも、キム・ジーインさん(54)は、ヘアカーラーを、社会の美やジェンダーについての期待に添わなくても、公の場で自分たちが選んだ通りに行動できるべきだと考える若い女性における大きな変化の一部だと捉えている。

「20代の女性が地下鉄の床に座って、目の前で化粧をしているのを見たことがある」と彼女は話した。自分の時代には、女性が髪の毛にカーラーを着けて出かけるのは考えられなかったと付け加えた。

韓国の厳しい美の基準に対する抵抗と、ジェンダーに関する制限的な見方は新しいものではない。 #MeTooの主張が数年前に国を席巻した後、一部の女性は「脱コルセット」運動で応じた。これは、身体的魅力についての抑圧的信条に抗議するために、化粧をやめ、坊ちゃん刈りにする運動だ。

これからもカーラーを巻いて出かける

もっとも、アメリカ政府機関の国際通商局によると、韓国には世界有数の美容産業があり、2019年には世界の美容市場のほぼ3%を占めている。

新型コロナのパンデミックの中でも、韓国の美容産業は栄えてきた。国内最大の美容コングロマリットの1つ、アモーレパシフィックは、2021年の第1四半期の売上高が前年同期比8.5%増加したと報告した。韓国貿易協会によると、美容製品の輸出も前年比16%増加している。

だが、それでも若者たちはカーラーを巻いたまま出かけることを選ぶという。

ソウルの25歳の研究者、キム・ドンワンさんは、約6年前に女性がヘアカーラーを巻いているのを初めて見たとき混乱したと話す。現在では、彼は「可もなく不可もない」とし、最近の女性はこのようなことを隠すようプレッシャーを受ける可能性が低く、またより強い敬意を求めていると話す。「時代は大きく変わったのですから」と彼は言う。

ソウルの22歳の学生、ダヨンさんは、年配の韓国人は公共の場でヘアカーラーを巻いていることを認めないかもしれないが、彼らは若者文化や、10代、20代の女性がヘアカーラーを誇らしげに髪に巻いたまま外出することを理解する立場にはない、と主張する。

「今のトレンドは外でカーラーを巻くことです」と彼女は話す。若い女性たちは、「自分のやりたいことを安心してできる」ことを望んでいるのだ。

(執筆:Jin Yu Young記者)

(C)2021 The New York Times Company

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