ホンダが「電気のバケツリレー」を仕組み化した訳 Jリーグ会場で見たフェーズフリーの現場感
2輪車については2021年3月、ホンダ、ヤマハ発動機、スズキ、川崎重工の4社が電動2輪車用交換式バッテリーのコンソーシアムを新設し、ヨーロッパでも2021年5月にホンダ、ヤマハ発動機、KTM、Piaggioが同様のコンソーシアムを創設した。
ホンダのモバイルパワーパックは、こうした交換式バッテリーの標準化に向けたベースモデルだといえるだろう。
さらに、今回ホンダ青山本社で展示があったように、コマツの小型建機や楽天向けの小型自動配送ロボット、さらに小型農機など、ホンダ以外の製品でのモバイルパワーパック利用が検討されている。
岩田氏は「ホンダeMaaSを社会のエコシステムとして他社製品にも拡げ、再生可能エネルギー拡大に貢献する」と、ホンダの企業としての姿勢を示す。eMaaS構想を普及させるためには、今回甲府で見たようなフェーズフリーを、より多くの人に実感してもらうことが重要だと感じる。
もっと「人中心」であるべき
2010年代以降は、グローバルで地球環境に対する企業の意識が高まり、SDGs(持続可能な開発目標)という理念が一気に広まってきた。
これと並行して、ESG投資と呼ばれる従来の財務情報のみならず、環境・ソーシャル(社会性)・ガバナンス(企業統治)を重要視する投資に注目が集まるようになり、企業経営の在り様が大きく見直される事態となっている。
ホンダのeMaaS構想のみならず、自動車メーカー各社は独自に、または他社と連携することで、EV(電気自動車)、自動運転、シェアリングなどの新サービス領域、通信によるコネクティビティ技術などの研究開発を進めている。
こうした各分野の現場を取材していると、いまだにメーカー(製造者)は作り手(供給者)の立場で物事を見る傾向が強い印象がある。
特に自動車メーカーは「お客様目線」や「人中心」というスローガンを掲げてはいるが、自動車メーカーの事業形態が製造業および卸売り業であり、お客様と接するのは販売会社だという製販分離の図式は変わらない。
だから、例えばホンダのeMaaSでは、4輪、2輪、そして小型発電機や農機などを扱うパワープロダクツ(ライフクリエーション事業部)というホンダ事業の3本柱の販売会社が、ホンダ本社と本田技術研究所と一丸になって「よりよい社会に向けてともに進もう」という意識統一をする必要があると思う。
三部敏宏(みべとしひろ)社長新体制による、真の意味での「人中心」のホンダの飛躍に期待したい。
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