ホンダが「電気のバケツリレー」を仕組み化した訳 Jリーグ会場で見たフェーズフリーの現場感

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山梨県の環境・エネルギー政策課は「こうした場で、県民の皆さんに水素(社会)を身近に感じてほしい」とイベント開催の意義を示した。実際、Moving eの前を通るヴァンフォーレ甲府のサポーターたちからは「あっ、水素だ」とか「やっぱり、これからは水素の時代なんだね」といった声が自然と聞こえきた。 

筆者は、これまで全国各地で水素社会に関する取材を行ってきたが、改めて山梨県では、日常的に水素社会に向けた情報共有が県全体で進んでいるという印象を持った。

ホンダの考え方は「eMaaS」

「水素×スポーツ Day in 山梨」の10日前、筆者はホンダの青山本社で「電気のバケツリレー」に関する研究開発の中心人物である、株式会社本田技術研究所 先進パワーユニット・エネルギー研究所 兼 ライフクリエーションセンター エネルギー商品統括の岩田和之氏とじっくり話し込んでいた。

岩田氏と筆者はこれまで、超小型モビリティ「MC-β」での熊本実証など様々な事案を通じて意見交換してきた間柄である。

お話を伺った本田技術研究所エグゼクティブチーフエンジニアの岩田和之氏(筆者撮影)

取材時、ホンダ本社1階の展示施設「ウエルカムプラザ青山」では「モバイルパワーパックタウン~ちょっと未来の暮らし」(2021年10月29日~11月8日)が開催されており、このタイミングで改めて「フェーズフリー」について岩田氏との議論の場を設けていただいた。

ホンダには「eMaaS(イーマース)」という考え方がある。

北欧フィンランドを起源に生まれた言葉「MaaS(マース:モビリティ・アズ・ア・サービス)」は、ご存じのことだろう。これは、ITなど最新技術によるデータ解析を基軸として、様々な交通の利便性と事業者の運営コスト適正化を図るもので、2010年代後半から日本を含めた世界各国の政府や自治体などが実証試験を行っているものだ。

ここにホンダでは、「EaaS(イース:エネルギー・アズ・ア・サービス)」という考え方が加わる。EaaSは、前述の「電気のバケツリレー」のように、環境にやさしく賢い電気の利用を指す。

こうしたMaaSとEaaSを、小型交換式バッテリーであるモバイルパワーパックを介して融合したのがeMaaSだ。

また、このモバイルパワーパックは、業界内部の橋渡し役でもある。電気をエネルギー源とする小型モビリティの場合、メーカーによって電池の種類や電池パックの大きさが違うため、充電設備は共用できても、電池そのものが違うため、ユーザーどうしが電池を交換することができなかった。

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