日本とドイツ「移民」の違いで生じた決定的な差 2000年前からローマの哲人が見抜いていた本質

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少子化は、先進資本主義国における共通した問題だ。経済成長を維持するためには、移民を受け入れるしかない。

第2次世界大戦の敗戦国である日本とドイツは、戦後、驚異的な経済成長を遂げた。21世紀になって日本経済が停滞しているのに対して、ドイツはEU(欧州連合)の盟主となり、経済成長を続けるとともに政治的、軍事的にも影響力を拡大している。

大国であり続けようとしたドイツと放棄した日本

第2次世界大戦後もドイツは大国であり続けようとした。対して日本は大国であることを無意識のうちに放棄してしまった。その違いはどこから生じるのであろうか?

それは移民を受け入れるか否かだ。ドイツは移民を受け入れることで、民族問題、宗教対立などの社会的軋轢が生じることを認識していた。それでも経済成長を続け、大国としての地位を維持するために移民受け入れという選択をしたのだ。

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日本の場合、移民はいないという建前になっている。しかし、技能実習生という形で実質的に移民を受け入れている。

移民がいないという建前になっているので、移民に関するルールも存在しない。その結果、技能実習生たちが劣悪な労働環境に置かれ、技術が身につかないような肉体労働に従事させられている。

このような、なし崩しで実質的な移民を受け入れることで、目には見えにくいが民族問題が生じている。今のうちに手を打たないと10年後に日本社会も深刻な民族問題を抱えることになる。

残念ながら、日本の政治家で移民問題の重要性を認識している人があまりに少ない。

佐藤 優 作家・元外務省主任分析官

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さとう まさる / Masaru Sato

1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了。

2005年に発表した『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)で第59回毎日出版文化賞特別賞受賞。2006年に『自壊する帝国』(新潮社)で第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『読書の技法』(東洋経済新報社)、『獄中記』(岩波現代文庫)、『人に強くなる極意』(青春新書インテリジェンス)、『いま生きる「資本論」』(新潮社)、『宗教改革の物語』(角川書店)など多数の著書がある。

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