データで解明「コロナで階級社会化が加速」の衝撃

打撃を最も受けたのは非正規の若者と女性

コロナ禍が格差に与えた影響を分析する(写真:タカス/PIXTA)
コロナ禍で最も経済的な打撃を受けたのは誰なのか。「非正規の若者と女性」と指摘するのが、階級・格差社会を研究する早稲田大学教授の橋本健二氏だ。橋本氏は、かつて「一億総中流」と呼ばれた日本社会に階級性があることを指摘。さらに非正規雇用で所得の低い「アンダークラス」が出現していることを明らかにした。
貧困に陥った若者たちの実態に4日連続で迫る特集「見過ごされる若者の貧困」1日目の第4回は、コロナ禍が格差に与えた影響について、橋本氏がデータで解明する。
【特集のそのほかの記事】
第1回:「時給高いから上京」の21歳女性を襲った"想定外"
第2回:「コロナで路上生活」38歳元派遣の"10年前の後悔"
第3回:「親が学費負担放棄」学生を絶望させる新たな貧困

1947年に発表されたアルベール・カミュの小説『ペスト』と、1722年に出版された、『ロビンソン・クルーソー』の作者であるダニエル・デフォーの実録小説『ペスト』(原題は『ペストの年の記録』)の2冊はいずれも、その事実を描いている。

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ごく簡単に要約すると、カミュの『ペスト』には、次のように書かれている。

ペストが流行し始めると、必需品への投機が始まったため価格が高騰し、富裕な家庭は何ひとつ不自由しないのに、貧しい家庭は苦しい生活を強いられるようになった。

また看護人や墓掘り人など、感染の危険の多い職業に就く人々は次々に死んでいったが、人手不足になることはなかった。なぜなら、ペストの蔓延による経済組織の破壊によって生まれた多数の失業者が、下層の仕事を担うようになったからだ、と。

被害にあったのは必ずしも貧困層ではない

デフォーの『ペスト』は、1665年のロンドンでのペストの大流行に題材をとっているが、やはりペストが人々の間の格差をきわだたせたことを克明に描いている。

流行の初期には、まず郊外に疎開先をもつ一部の富裕層が、真っ先に脱出した。豊かな市民や役人たちは、自分や家族はできるだけ家から外に出ないようにして、奉公人を生活必需品の買い物に行かせていたが、往来を駆けずりまわった奉公人たちは感染し、さらに感染を広げていった。死体の運搬や埋葬のために雇われていた者たちが病気になったり死んだりすると、仕事にあぶれた貧乏人たちが代わりに雇われた。

さらに、次のような注目すべき事実も描かれている。ペスト禍で真っ先に生活が困窮したのは、装飾品や衣服、家具など不要不急のものを製造する職人たちと、これらを扱う商売人たちだった、というのである。

料亭、居酒屋その他の飲食店での酒宴は禁止され、過度の飲酒は悪疫伝播の原因だとして厳重に取り締まられ、夜9時過ぎの料亭、居酒屋、コーヒーハウスへの出入りは禁止された。

ここで被害を被ったのは、必ずしも貧困層というわけではなく、自分で事業を営む人々であり、しかもその被害は、感染によるものではなく、事業が痛手を受けたことによるものである。これらの人々のもとで働いていた職人や店員も、仕事を失ったはずだ。

これは現代の日本と、まったくといっていいほど同じである。

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