貧困率が最も高いアンダークラスでは、内部での格差も見逃せない。次の表は、アンダークラスに起こった仕事上の変化を、年齢別に見たものだ。
まず勤務先が休業したという人の比率を見ると、20~39歳の若者が16.8%と高く、40歳以上(8.3%)の2倍となっている。コロナ禍は明らかに、若者の仕事により強く影響したのである。
しかし勤務日数や労働時間、そして収入の変化を見ると、様相が異なる。勤務日数や労働時間が減ったという人は、どちらの年齢層も36.5%で違いがない。収入が減った人の比率は、20~39歳の若者が25.1%にとどまるのに対して、40歳以上では31.8%に上っている。
若者は転職や副業で何とかしのいでいる?
なぜこんな結果になるのか。その理由は、転職した人の比率と副業を始めた人の比率を見ればわかる。20~39歳の若者は9.0%までが転職しているのに、40歳以上で転職したのはわずか0.5%である。また若者の4.8%が副業を始めているが、40歳以上ではこの比率が2.6%にとどまる。
どうやら若者たちは、コロナ禍によって勤め先が休業するなど、大きな影響を受けはしたのだが、転職や副業によって何とかしのいでいるらしいのである。これも若さゆえだろう。ちなみに転職した若者の比率を男女別に見ると、男性4.9%、女性11.3%となっており、女性のほうが苦労したことがうかがえる。
これに対して40歳以上の人々は、仕事が減ったにもかかわらず転職も副業もしなかったために収入が減っているのだが、実はここには男女差がある。収入が減った人の比率は男性では24.7%にとどまるのに対して、女性では36.1%と明らかに多いのである。
中年男性アンダークラスがある程度まで守られているのに対して、中年女性アンダークラスは、放置されているようである。詳しいことはわからないが、おそらく休業補償などの制度が男性のほうにより多く適用されているのだろう。
このようにコロナ禍は、従来からあった階級間の格差をより際立たせた。アンダークラスと旧中間階級がより大きなインパクトを受け、さらにアンダークラスの内部を見ると、若者と女性が受けたインパクトが大きい。
弱者がより大きな影響を被り、格差が拡大した。コロナ禍は日本の社会に、大きな傷跡を残したといわなければならない。この傷を癒やし、さらに格差を縮小して災禍に強い社会をつくりだすことが、今後の日本社会には求められる。
(2日目第1回は経験者が激白!流行する「ギグワーク」過酷な末路)
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