「親が学費負担放棄」学生を絶望させる新たな貧困 家は裕福でも自力で生計、統計では見えない実態

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コロナ禍で学生たちも苦しんでいる(写真:Graphs/PIXTA)
コロナ禍による経済的な打撃は、とくに低所得者層の若者たちを直撃している。ところが「若いから働けば何とかなる。支援する必要はない」「ただ怠けているだけ」といった声は根強くあり、理解されないことが多い。では、本当にそうなのか。
貧困に陥った若者たちの実態に4日連続で迫る特集「見過ごされる若者の貧困」1日目の第3回は、連載「貧困に喘ぐ女性の現実」の筆者であるノンフィクションライターの中村淳彦氏が「学生の貧困」の知られざる実態に迫る。
【特集のそのほかの記事
第1回:「時給高いから上京」の21歳女性を襲った"想定外"
第2回:「コロナで路上生活」38歳元派遣の"10年前の後悔"
第4回:データで解明「コロナで階級社会化が加速」の衝撃

今、大学や専門学校で勉強をする若者たちは本当に厳しいことになっている。とくに自宅外通学の大学生の貧困状態が深刻だ。

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数十人におよぶコロナ禍の大学生への取材で浮かび上がった主な理由は、学費の高騰、親世帯の収入減、出席の厳格化、アルバイトの報酬減、消費増税、親の学費負担放棄、コロナの影響でバイトができない、など。

その中でも驚いたのは、親が学費負担を放棄しているという学生が何人もいたことだ。

両親は公務員、なのに母は「お金がない」

「高校1年生のときから両親は離婚の話し合いをしていました。子どものころからお母さんはお金がないっていつも言っていました。大学は私立なんて行かせられない、絶対に国立に行きなさいって。だから国立大学に落ちたとき、これからは自分で全部やらなきゃ、って思いました」

桜木綾香さん(仮名、20)は、ある地方都市にある私立大学の2年生。離婚調停中の両親は正規の地方公務員。その都道府県職員の平均賃金を見ると600万円を超えている。綾香さんは世帯収入1200万~1400万円くらいであろう恵まれた家庭に育っていた。

「両親は小学生のころから別居していて、高校の学費も、大学の入学費とか授業料もお父さんとお母さんが折半で負担していました。けど、お父さん側がまったく連絡とれなくなって、裁判が進まないとか、お金を支払ってくれないとかあったみたい。だから大学の学費は、全部あなたがアルバイトで稼ぎなさいって。

両親がずっと裁判で争っているのを見ていたし、学費も母親に言われたとおりに私が全部払っています。でも、母親は父親に私の学費を請求していてお金をもらっているかもしれないし、よくわからない。親は一切頼れない、自分と関係ない人たちってことだけは明確になりました」

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