短大の2年生のときに母親に奨学金の返済を迫られた。
「在学中、母親から奨学金の返済があるから毎月10万円が必要だって言われました。そんな金額は無理なので、もういろんな仕事をしました。奨学金のことも学費のこともよくわからないので、母親の言われるままにやるしかないです。授業料の支払いとか、奨学金の返済は全部母親がやっているので」
奨学金の返済は卒業後なので、返済で必要というのはウソのはずだ。だが、麗奈さんはダブルワーク、トリプルワークして働き詰めになった。バイトばかりしていたために、就職できず、今はサービス業の非正規雇用で低賃金労働をしている。
母親に言われたままに書類に署名捺印
卒業した短大の学費は総額240万円。麗奈さんが言うとおり、日本学生支援機構の第一種と第二種の奨学金をフルで借りていたとすると2年間で430万円ほどになる。
彼女自身は奨学金の仕組みは何も知らないようで、母親に言われたまま書類に署名捺印して進学している。在学中から母親に支払っている返済のお金と、必要以上に借りた差額は母親が着服、もしくは家計に組み込まれている可能性が高いように感じた。
「だって、払えって言われているから。入学のときはお金のことは言われなかった。けど、もう無理だから学費を毎月10万円稼ぎなさいって。お金がない、お金がない、おまえの学費なんて、みたいな。そうですかってなって。お父さんは何も言わない、助けてもくれないし。助けを求めたわけじゃないけど。母があまりにしつこく言うので、じゃあ私が働いて払います、ってなった」
すでに3年以上、毎月10~13万円を母親に渡しているということは、少なく見積もっても現段階で360万円以上を払っているので、学費分の返済は終わっているはずだ。しかし、まだ毎月の返済を求められていた。麗奈さんはウンザリしながら「そういえば、短大進学からお母さんの生活が少し派手になったかも……」と言っていた。
日本学生支援機構「平成30年度 学生生活調査結果」によると大学(昼間部)の奨学金受給率は47.5パーセントに上る。
国は2020年4月からは、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯学生を対象に、大学などの授業料減免制度や給付型奨学金の支給拡充といった「高等教育の修学支援新制度」を開始している。だが、冒頭の綾香さんのように、親に収入があっても払わないケースもある。
学生の貧困の奥底には、根深い問題がひそんでいる。
(第4回はデータで解明「コロナで階級社会化が加速」の衝撃)
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