東京駅丸の内口「日本の中枢」に足りないのは何か 華やかな「赤レンガ駅舎側」寂しく感じる部分も

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完璧な街に見えるが、寂しいと感じる部分がある。とくにビジネスアワー以外の大手町がそうだ。夕刻、丸の内仲通りがにぎわっているのに、1本東側の都道402号錦町有楽町線は、東京駅丸の内口にいちばん近い幹線道路なのに、自動車が行き交うだけで人通りも少ない。そもそも「大名小路」との通称が広まっていない。耳にしないということは、外から人が集まっていないということ。昔のままのビジネス街である。せっかくの隣接地の活気を引き込む手はないか。

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ただ、大手町は東京最大の地下鉄のターミナルだ。地下に降りれば、それなりの人通りがある。東西線大手町駅が開業する時、丸ノ内線大手町駅と離れた場所にホームが設けられたため、乗り換えの便を図って間にあった富士銀行と協議し、本店(現在の大手町タワー)の新築工事に合わせて、同ビルの地下に連絡通路兼商業施設(現在のOOTEMORI)を設けたのが始まりだ。

地下には寂しいところも

その後、乗り入れる地下鉄が増えるにつれて地下通路は増えたが継ぎ足し継ぎ足しで来ている。リニューアルが行われたが、構造は変わらず複雑だ。二重橋前駅(丸の内と副駅名がついた)、日比谷、有楽町まで一大地下通路網が広がってはいるが、地下街ではなく商業的なにぎわいとは縁が薄い。少しもったいなく感じる。

二重橋前の駅名標(筆者撮影)

寂しいと言えば、行幸通りの地下もそう。今は新型コロナウイルス感染症対策としてワクチンの集団接種会場になっているが、ふだんはギャラリーである。ただ地上と比べて、やはり東京駅と地下鉄各駅との間の「通路」の感覚だ。

アートスペースとしてショーウィンドウを並べるだけではなく、美術館として、人を立ち止まらせる工夫がほしいと思う。街の一つひとつの区画にも、それぞれ個性があってしかるべきだが、せっかく始まったにぎわいだ。立地条件は抜群でもあるし、もっと広めてほしい。

土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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